臨時国家の安倍首相の所信演説表明は、ねじれは解消したとばかりに、かねてからの主張は封印して、経済問題とそれにまつわるオリンピックの引用等精神訓話に近いものであった。
国民が最も懸念している、消費増税についてはほとんど触れることがなかった。日本を大きく変えるであろう、TPPについては言及すらなかった。党内に反対勢力を抱える事情があるのであろうが、野党に突かれるようなことはしないといった姿勢である。
ねじれがなくなったとばかりに、安倍政権は党内調整さえすれば、あらゆることを乗り越えられるとばかりに、都合の悪いことは封印したままの所信演説表明であった。
特に、今国会に提出予定の、特別秘密保護法については全く触れることもなかった。加えて、抱合せて設立される日本版NSC(国家安全保障会議)という、国民の権利の前に国家を優先させる制度の導入については、全く触れなかった。
更に、論議のある集団的自衛権の容認と、憲法改正に向けた動きについては、余計なことは言質を取られるくらいなら、黙ったいた方が得策との判断であろうか。安倍は、自らが長年掲げていたことについては、水面下でやろうというのである。
外交政策は、積極的平和主義という名のもとに軍国化を進め、最も懸念される、中国や韓国については、言葉もなかった。
成長戦略実行国会と命名しての、アベノミックスの3本の矢の自画自賛は、成長戦略の表面的な動きの活発化によって、安倍の真の狙いは隠されたままである。