日米防衛協議(2+2)に出席するために日本を訪れていた、アメリカのケリー国務長官とヘーゲル国防長官が3日に、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れて献花した。アメリカの高官が、千鳥ヶ淵を訪れ献花するのは初めてである。これはアメリカ側からの要請でもあった。
これは極めて重要なアメリカのメッセージである。今年5月ワシントンを訪れた安倍首相は、アーリントン国立墓地を訪れて、靖国神社と同じであるとの認識を披歴している。
靖国神社は国粋主義者たちの、国家の側に立った戦死軍人だけを祀り、戦争の美化と正当性を主張する極めて異常な施設である。戦後30年近くたって、隠密裏にA級戦犯を合祀したことでさらにその性格が、鮮明になった。
今回の二人の参拝は近隣諸国の反発を招きながらも、これに強引に参拝する日本の為政者たちへの、ケリ-なりの警告であると言える。靖国の異常さもさることながら、アメリカは中韓との不協和音を嫌ったものである。
記者団に対して、二人は同墓苑がアーリントン国立母地に最も近い存在であるから、献花に来たと説明している。
今回は、日本の官僚が阻止できなかったようである。オバマが広島に行くことを、ありもしない理由で外務官僚が中止させた経緯があるが、今回は時間がなかったようなのである。
日本とアメリカは戦争当事国であったとはいえ、現在は同盟国であるにもかかわらず、アメリカ高官が戦没者墓苑を訪れるのは初めてとはいささか驚いた。日本のマスコミの報道が、異常に少ないのも気にかかる。