そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

シマフクロウの給餌問題を考える

2016-03-10 | 環境保護と循環
環境省北海道地方環境事務所は昨日(9日)、シマフクロウへの給餌について、環境省の認める保護増殖事業以外は「安易な餌づけ」だとし、やめるよう指導する方針を明らかにした。このことは釧路市で開かれた「シマフクロウ保護増殖検討会」で提示された。
保護増殖事業における給餌の基本的な考え方として「必要最小限の期間及び量に限って行う」とし、これ以外の給餌は「餌づけ」だとして区別されることになった。
具体的には、養老牛温泉の二軒のホテルで(一見は昨年廃業)、宿泊者が見ることができるように小さないけすを掘って、夜間にシマフクロウが来るのをガラス窓越しに見ることができるようにしていることを指しているとも思われる。
国の特別天然記念物で絶滅危惧種のシマフクロウを、客寄せパンダにつかいことへの懸念と警鐘である。
地域おこしには役立っていると思われるが、野生動物の給餌はその種の保護のために行われるのが本来である。野生動物が人へ依存することは本来の姿ではない。ましていや、商業目的ならなおさらである。
このホテルでシマフクロウを観察していた宿泊客からは、「今度はヒグマを見たい」という声が聞かれた。環境に興味の薄い不特定多数の人が、簡単に抱く感情であろうかと思われる。際限なく欲望や要求は広がることになる。
新潟県の泉田知事が、佐渡でトキが自然界に放たれたが一部がなじむことができなかったが、環境庁は給餌して乗り越えることがなかったことについて強く非難した。ペットや家畜ではなく自然界で生き続けてもらいたければ、給餌など保護をすべきでなかった判断は許される。
もう一つの給餌場所が羅臼の民宿であるが、町の教育委員会と連携して子供たちに開放している。一見もっともらしくはないが、カメラマンなどを大量に受け入れる客寄せであることには変わりない。ここは、人との境もなくほとんどペットか家畜のように客に見せている。
一般の人たちがシマフクロウに接するいい機会には違いはないが、基本的には商業主義によるものである以上、こうした給餌行為は禁止されて然るべきであろう。
コメント (1)
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