そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

供給過剰の世界の穀物、それでも下がらない消費者価格

2016-03-27 | 農業と食
左のグラフは今月に発表された、国連のFAO(食糧機構)の発表したものである。
農業関係者は口を開けば、穀物の高騰を口にするようであるが、一昨年からこの事情は大きく変化している。世界的な穀物の豊作が、様々な食料価格を下げているのである。ただ日本はこの間に安倍政権の金融操作で、30%も円の価値を下げているので、畜産農家や製麺業者はそのことを実感していないであろう。
二つのグラフはいずれも2002-2004年を100にした数字であるから、そのレベルまでには至ってはいないが、昨年夏より砂糖を除くあらゆる食料品の世界的価格が下がっている。これにはブラジルとアルゼンチンの高収量がある。ざっと見て40%もの価格下落である。
さらにここにきて、昨年来の原油価格の下落が大きい。今月12日に原油価格の下落を書いたが、これらは安倍政権が掲げるデフレ脱却にマイナス作用になる。国民にとっては喜ばしくても、アベノミクスは不都合なのである。現実の物価はそれほど下がってはおらず、一般国民は安泰というのであろうが、そうはなっていない。確かにガソリンなどは安くはなってはいるが、原油価格は30%にもなっているのである。流通経費もあろうが、いかにもおかしい。日本の畜産は穀物の大量給与に依存する形態である。ところが畜産製品は、ほとんど下がっていない。農家が家畜に与える穀物は、20%も下がってはいないからである。担い手不足や高齢化で生産量が落ちているので、むしろ乳製品は上がっている。少なくとも農家手取り価格は上がっている。
むしろ中国が肉を食べ始めたので、生産者価格は上がっているのである。特に、鳥や豚の病気の流行で品薄になって、牛肉価格が上がっている。東洋だけの問題かもしれないが、日本の生産者はいわばバブル状況である。農地開発などの現状も限界にあり、何よりも中国が消費する側に回ったことが、今後の食糧の供給に大きな不安を残すことになっている。
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