そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

呼びたくはないが、北海道牛乳は偽装表示がいっぱい

2016-07-21 | 安倍晋三
左の図は、私が講演のためにネットから拾って作った、北海道牛乳を表現しようとしているものを無作為に集めてみたものである。北海道牛乳とうたっているものは、ほとんど例外なく放牧風景をパックに描いている。
府県の方々は北海道の乳牛はすべてが、広い放牧地で大空の下でのんびりと草を食べていると思われている。大きな間違いである。確かに北海道の酪農地帯では、広い面積で牧草を栽培しているしそれを大量に収穫してはいる。それは古くは冬のための貯蔵飼料であったが、現在はほとんどが夏のこの時期でも、外に出して草を食べさすことはほとんどなく、固いコンクリートの床にいて、収穫した草(サイレージ)と主にアメリカから輸入した穀物を給与している。こうした環境で搾乳された牛乳が殆どである。乳牛の飼料と飼養形態は府県とほとんど変わるものではない。多少は草(粗飼料)が自給されているので、府県に比べて食べている量が多いと思われる程度でしかない。
上図のようにそれぞれが「北海道牛乳」と名付けて、パックにあたかも放牧された乳牛から搾ったものと表示するのは、偽装の手口と言って構わない。推定であるが、純酪農地帯の根室地方でさえ放牧された牛から搾られて牛乳は5%を切るのではないかと思っている。
牛に決して良いとは思われない集約型酪農より、牛の健康に配慮した放牧などを評価しようと家畜福祉を重視するに飼養形態が広がるように活動している。家畜福祉の認定基準を策定する過程で、最ももめたのが放牧の評価であった。多くの委員が必須条件としたかったのであるが、環境的に放牧できない地域や環境を考慮することにせざるを得なかった。規模拡大を行政も周辺産業もけし立てる様に、資金や制度や技術などを次々と紹介するのである。
放牧を主体にすれば乳牛は健康で長生きするが、穀物集約的な酪農のように牛乳の量は出ない。放牧を主体にした酪農では、土地の制限がり多頭数を飼うことができない。そうした理由などで、放牧酪農は圧倒的に少なくなってしまった。
結局大量の穀物に依存した畜産の形態は、家畜の食糧自給率を下げてしまうのである。下の図を参照してもらえると良いが、日本の牛乳のほとんどのカロリーは海外に依存しているのである。畜産の中で乳牛はまだましな方である。
多くの飼料を海外に依存する形態でありながら、北海道牛乳と呼ぶのはほとんど偽装行為である。しかしながら、オーストラリア産の小麦で作られた、讃岐地方のうどんを「讃岐うどん」と呼んでも咎めるものがいないように、多くの日本の生産地表示の食べ物は偽装だらけなのである。
コメント (4)
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