そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

アルカイダ化するIS(イスラム国)を理解しない日本政府

2016-07-05 | 安倍晋三
バングラデシュでテロ事件が起きた。IS(イスラム国)が犯行声明を出している。ヨーロッパでのテロやアメリカでの乱射事件も、ISが後追い承認のような形で成果にしている。ISのこれまでの組織と異なるのは、具体的な領土や組織が存在したことである。ところが、欧米の空爆や地上戦などで次第に支配地域を減少させている。
オサマ・ビンラディンが作ったといわれる、アルカイダは具体的な命令系統や組織としての実態はほとんどなく、思想であるといわれていた。つまり集会場や幹部を殺害しても思想として存在し続ける以上は、暴力では彼らの存在を壊滅させることができない
と言われるゆえんである。
ISが次第にそれに類似する組織になりつつある。支配地域をなくされても、彼らには生き続ける思想がある。反米を暴力的に具体化させ、イスラム教を国教とする地域の設立である。
ISはアメリカが育てた組織である。イランに対抗する形で、あるいはサダムフセインを壊滅させる形で陰に陽に育てた組織である。イスラエルというアメリカをコントロールする国の存在と、サウジアラビアという利権を共有する国家が、時々の地政学的偏向のために思想とは無関係に作られた組織である。ブッシュのイラク侵攻がさらにこれらを悲惨な形で醸成し巨大化することになった。
ISの戦闘員は5万人いるといわれているが、その半数は外国からの移入志願兵員である。イスラム教とは無縁であった若者たちが多いと言われている。彼らを醸成するのは、先進諸国の貧困である。貧困が生み出す若者への閉塞感がISを作った。更には、ロシアのチェチェンで迫害を受けた人たちや、中国で暴力的迫害を受けているウイグルや回教信徒たちが、国境を越えてくる。ISは占領地域を失っても、こうした基盤がある限りなくなることはない。今でも国境を越え、戦闘員を希望する若者は絶えることがない。
先進国は、国家の暴力と貧困や格差がISを醸成していることを理解するべきである。そして、ISは賛同者に自国で戦えと発信するようになった。

バングラデシュの事件は、海外協力隊を希望していたものとして看過できない事件で大変残念でならない。時あたかも参議院選挙の真っ最中で、安倍晋三は今こそ安全保障の具体的な活動をしなければならないような発言をする。日本の海外協力隊が世界で最も信頼されているのは、技術力の高さと日本人としての誠意に満ちた細やかな指導、それに戦力を持たない憲法の存在が背景にある。安倍晋三はイスラエルでそれをはっきり否定した。
こんな時でさえ選挙に利用しようとする狭量な為政者である。本来であれば、日本こそが彼らを救うべき立ち位置を持つことができるのであるが、今はそれすら叶わなくなってしまった。アルカイダより数段暴力化し占有地を失ったISの凶暴性は、世界各地でさらなるテロを繰り返すに違いない。
9.11をブッシュは暴力的に解決をしようとしたが、さらに巨大化する混迷を生み出した。安倍晋三も海外のテロを暴力的に解決する道を選んでいる。テロリストだけを非難できることができるのか。戦争や紛争それにテロを暴力で解決することができない。
コメント (7)
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