そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

アメリカの家畜はこれから先もずっとドーピング

2016-07-22 | アニマルウエルフェアー
ロシアのアスリートたちのドーピングが騒がれている。どうやらプーチンが、オリンピックでのメダル獲得数が減ってきたので、国威発揚に関係者のしりを叩いたためのようである。選手は知っていたのもあれば、全く無関心で知らなかったのもいるようである。
国家が係わっているから、証拠などすでにないことの方が多いだろう。取り締るものがやっているのだから、実体など判るものではない。実態は今後も解明されることなどないだろう。
ドーピングは古くて単純なのは、男性ホルモンのテストステロンがある。筋肉増強剤ともいわれるように、横紋筋を太くする。女性ならばひげが生えたり声が低くなったりする。現代のドーピングはそんな単純なものではないらしい。しかしながら、目的はあまり変わることなく、作用も似たものである。検査や測定方法がより一層困難になっているようである。
ドーピングをした選手たちは一応になにがしかの病気を患い、早死にしている。本来自らの肉体が生産する、内分泌と言われるホルモンを外から与え強制投与するのであるから当然の結果と言える。

私たちがこれを見て思うのは、アメリカの畜産である。アメリカの肉牛はほぼ全頭ホルモン処置されている。黄体ホルモンと発情ホルモンを一定の割合にし配合して、錠剤にして皮下に入れるのが多い。徐々に長く効果があるようにするためである。生長が早くなり肉質が柔らかくなるのである。
乳牛では、最近減ったようであるが、多分アメリカ牛乳の60%程度がホルモン処置されている。20年ほど前にはほぼ全頭が処置されていた。成長ホルモンであるが、10日に一度注射(きわめて不衛生に)するのである。ポジラックと呼ばれるこの製品は、モンサントが製造している。使用量が少し減った現在は、遺伝組み換え作物にシフトを映したモンサントは手放して、下請けに回されている。
ホルモン処置されると、牛乳の生産が17%ほど増えるのである。農家はお喜びのようであるが、乳牛の寿命も短くなる。何よりも発がん物質(IGF-1(インシュリン成長因子))がホルモンによっで増産されることも解っている。でもアメリカは止めない。儲かるからである。
こうした家畜へのホルモン処置は、一時的に様々な機能を増進させてくれる。家畜は生産性が落ちる前に、つまり若いうちに農場を離れるために、ホルモン処置による障害はあまり起きない。こうした家畜へのホルモン処置は、ドーピングと言われる行為と同じである。アメリカの家畜はドーピングによって強制生産させられているのである。
TPPに参入すれば、こうした家畜へのホルモン処置を禁止している日本は、規制を緩和などしてアメリカの企業の経済活動を妨げてはならないということになるのである。
TPPに参入してドーピング家畜の、肉や卵や乳製品をどんどん輸入することを消費者は希望はしなくても、知ることなく食べさせられることになるのである。

コメント (2)
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