そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

南シナ海のトラブルを傍観するしかない安倍晋三である

2016-07-13 | 安倍晋三
中国は国力の増加に伴って、それまでほとんど無縁だった海軍を所有するようになった。ウクライナから中古の空母を購入して一気に、海軍が増強された。上の左の図は中国が主張している領域である。古い話を持ち出しているが、国家の形態すら曖昧な時期を根拠にした地域である。どう見ても無理があるが、まともな国家なら主張するかと思われるが、一つは国内向けのパフォーマンスであるが、もう一つは海洋資源の占有である。当然周辺国家からは異議が出ることになる。
オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が昨日(12日)、中国が権利を主張する独自の境界線「9段線」が国際法上の根拠がないとする判決を出した。南シナ海問題を巡る初の司法判断であるが、当然予想されたことである。中国ですら予想して、当初から意味がないとか当事者間での問題だと言い続けてきた。中国が進める人工島造成などの正当性は、これで国際法上は認められなくなった。
人工島の建設や滑走路の整備などが認められないとされたことに加えて、200カイリの根拠も消失した。強制力はないが、中国は判決は紙切れでしかないと言い放った。
中国が強硬な理由はいくつかあるが、ASEANが親中国の国々の圧力で声明すら出すことができない。さらに、ここにきてイギリスがEU離脱が大きく後押しする結果になっている。イギリスは中国が設立したAIIBに、アメリカの手を振り切っていち早く参入し、両国の経済協力がヨーロッパ各国に中で最も進んでいる。
更に、フィリッピンのトランプと言われているドウテル新大統領が、対米自立と対中協調を打ち出したのである。歴史的にアメリカには強い関係があったが、それを脱して中国と話し合おうと言いうのである。中国にとっては多少の無理を聞いてでも、ドウテルの顔を立てたいところである。それを見込んでのドウテルの交渉である。ドウテルの親中国政策は日本とアメリカにとって厄介な存在となっている。
日本は小泉以来(一時民主党がとった時期は除いて)外交は対米従属以外の選択肢を執っていない。せっかくハーグの裁判所が出した判決の対応に苦慮している。アメリカの顔色を窺っても何も出ては来ない。自主外交を放棄した自民党の膠着した外交方針は菅官房長官に、対応策の言葉すら出させない。
中国は国際的に孤立すると、日本政府が嫌味を言っても中国の打った手の方が有効に作用している。中国はベトナムをも取り込もうとしている。これほどあけすけに違法な行為を重ねても、中国を咎める国がないのである。本来であれば、アジアだ真っ先に近代化に成功している日本が、国際ルールに従うべきと中国にブレーキをかける立場になるべきである。
しかし安倍晋三にとって、南シナ海や東シナ海での中国の横暴は、改憲と軍事化に必須条件として存在している。だから改憲しなければならない、軍隊を持とうというわけである。国際的協調が求められる今世紀であるが、安倍は真逆の先祖返りの政策を、この道しかないと進めているのである。

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