長年にわたって、大浦湾の環境調査を行ってきた日本自然保護協会(NACSーJ)の報告によれば、辺野古の埋め立てが始まった途端に、ジュゴンが消えたとのことである。ジュゴンが使っていたところは、埋めたたちの北側にあたり、現在護岸がなされて海藻藻場が失われたとのことである。ジュゴンは音に敏感な草食動物である。事業者は因果関係は明かでないと、何とも無責任で間の向けた判断をしている。
二年前に、「辺野古大浦湾の環境保全を」という記事を書いた。急激に深くなっていることと、そのために開発が遅れていたので、希少種が数多く残されているところでもある。
ジュゴンは草食獣である。ジュゴンがいなくなることは、彼らの食べるものが減るなりの環境悪化が起きていることを意味している。海藻藻場は沿岸に沿っていることが多く、人間の制圧に左右されやすい。かつては日本では奄美にもいたが現在は、沖縄にしか生息が確認されていない。
キャロライン・ケネディ前駐日アメリカ大使は、クジラの保護の御執心であったが、ジュゴンには無関心である。辺野古基地の建設には何の疑いも持つことがない。大浦湾は世界の生物多様性のホットスポットの一つとされ、極めて生物の多様性の高いところである。この海域からは、262種の絶滅危惧種を含む、5334種もの生物が記録されているところである。
一般庶民の生活だけではなく、政治は環境問題に無関心である。際限ない環境破壊は、金にも票にもならないのであろう。その一方で”安全保障”と呼び名を変えた、軍備拡張には何でもありの金をジャブジャブつぎ込むのである。来年度は防衛予算は5.2兆円になる。かつては、GDPの1%の縛りがあったがすでに消え失せてしまっている辺野古の新基地製作費は、3500億円と言われているが、公共工事に常として倍にはなるであろう。ジュゴンのことなど考える気など毛頭存在するべくもない