異次元の圧力を北朝鮮にかけ、政策を変更させなければならないと言い続けているのは、日本即ち安倍晋三だけになっている。一昨日書いたが、”これまでにない”圧力をかけるから、”強い”圧力へ、そして”更なる”圧力を、ついには”異次元”の圧力を北朝鮮にかけろと、言い続け、安倍晋三の頭の中には政策変更などない。言葉の質を上げて北朝鮮を叩くことしか、安倍晋三は言っていないのである。この何処が積極的平和主義という言葉に合致するのか解らないが、この姿勢こそが積極的平和主義の本質であり、相手国を理解することのない極めて好戦的な内容を持っていることが解る。
日本国憲法の前文の、『日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。』を、真っ向から否定するものである。
中国とロシアは今年7月4日の首脳会談で、「朝鮮半島の段階的正常化計画」として、「北朝鮮の核開発と米韓軍事演習の同時凍結宣言」を提案している。北朝鮮の建国記念日などを意識した、米韓の軍事演習の凍結を、北朝鮮の核とミサイルの凍結の条件にしている。
金正恩が核とミサイルを放棄してテーブルに着くとは、誰の目にも映ってはいない。日米が核の放棄を前提が、話し合いの入り口とすることは、極めて遺憾ではあるが最早非現実的である。いいかえると、凍結提案こそが、核とミサイルの開発を認めない最低限の現実的な手段である。すでにアメリカは、何らかのメンツを保つ条件出しながら、話し合いの場を検討している。
安倍晋三は、ウラジーミルくんに制裁を懇願したが、北方領土同様に見事に却下されている。それを隠すために、経済界開発を打ち出している。実質一方的な日本の投資であり、領土問題の日本の放棄でもある。
金正恩が今年になり度重なるミサイル発射と核実験まで行った背景には、米韓の斬首作戦がある。イラクのフセインとリビアのカダフィーの前例があるが、一方でシリアのアサドがロシアの庇護のもと生き残っている現実もある。彼らは大国の保障と核を持たなかったからだというのが、金正恩の論理であろう。
金正恩の留学先であったスイスは仲介役を買って出ている。イギリスは米韓共同訓練と核を同列に並べるのには否定的であるし、ドイツもフランスも一方的な経済制裁が功を奏していないことも認めている。国連の制裁決議はロシアの拒否権が金正恩を救うことになるであろう。
こうした中、日本の宰相だけが圧力強化だけを唱える硬直性は、別の目的があるあるからに他ならない。来年度の防衛予算は過去最大の5兆円を突破した。防衛予算増大の根拠が欲しいのである。更には恥ずかしい憲法を安倍流の戦前に回帰させたいのである。自然増をしたん割り実質削られる社会福祉予算を横に、憲法と軍国化のために北朝鮮の恐怖、危機は安倍晋三にとって必須アイテムなのである。