国民民主党が野党が決して超えてはならない一線を越えた。野党でありながら、自公政権の予算案に賛成票を投じたのである。ある意味首班指名より重い、与党提案の予算に賛成票を投じた。法案とは異なり予算案は、与党そのものの政策を全面賛成したことになる。閣外協力に匹敵すると言ってい良い。
玉木雄一郎は維新を超えた右に立ち位置を置いたことになる。野党でありながら最も右寄りの、国民民主党の前原誠司ですら棄権をしている。苦労知らずのエリートがよく陥る、驕りである。
野党が予算案に賛成したのは、1994年以来であるが、この時は自社連立で与党と野党の区別が判然としない背景があった。実質憲政史上初の恥ずべき行為といえる。
玉木は政治は力学で働くことを知らない。性善説の理性が動かすと勘違いしている。ガソリン税のトリガー条項にこだわって賛成したということである。国民民主党の賛成投票に、多くの自民党議員ですら驚いている。
玉木は連合の芳野会長に言訳に出向いたが、理解を取り付けている。すでに連合を大きく右に切っている芳野会長は、玉木に賛同しやがて与党に組み込まれるであろう国民民主党を支持するのである。
立憲民主党は、参議院選の国民民主党との選挙協力に難色を示し、野党共闘を見直すことに言及している。
日本維新の会の松井一郎代表ですら、「連立(政権入り)を目指しているんだなということがひしひしと伝わってきた。与党になるというなら、もう連携はできない」と批判している。
それに共産党は勿論のこと、社民党にもれいわとも共闘などありえないだろう。
野党間でも干されてしまった国民民主党である。かつて玉木が立候補したかった自民党の枠に取り込まれてゆくことになる。泡沫政党の党首は行き場がなくなり、暖かいところに落ち着くであろう。