詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(26)

2023-08-24 22:34:36 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「テオドトス」。

よっく用心しろ、自分の偉くなる時には。

 このことばは、少しずつ変形しながら、何度か繰り返される。「偉いと思ったらお終いさ。」「だからといってないとは限らぬ/今みたいなこと、恐ろしい目覚ましいことが。」
 「偉くなる」「偉い」「目覚ましい」。それは自分が自分でなくなる、つまり「恐ろしい」ことでもある。だから「用心しろ」。「よく」ではなく「よっく」。この強い口語と「偉い」という口語がとても似合う。
 「具体的な地位」ではなく「偉い」という一言が、なんともいえず「人間的」だ。人間的な、あまりにも人間的な、悲劇が待っている。

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Estoy Loco por España(番外篇397)Obra, Jesus del Peso

2023-08-24 17:47:44 | estoy loco por espana

Obra, Jesus del Peso

 La obra de Jesús no tiene peso. Hay una ligereza de imaginación que supera el peso del hierro, y es esta ligereza la que permite que la obra de Jesús flote en el aire.
 Lo mismo ocurre con los pájaros. El cuerpo del pájaro tiene peso, pero el pájaro puede volar.
 En el caso del pájaro, las alas producen flotabilidad, pero en la obra de Jesús, la imaginación de la forma produce flotabilidad. La imaginación es también la idea de captar el movimiento físico.
 Esto puede verse comparando su obra con la de Joaquín, de la que se habló en el articilo anterior.
 La obra de Joaquín combina materiales (piezas de hierro) y florece hacia el cielo. Son las manos de Joaquín las que la crean. En la obra de Jesús, sin embargo, la imaginación desciende del cielo y tira ligeramente del material (hierro). La que mueve el hierro es la imaginación y la idea de Jesús.

 Jesus の作品には重さがない。鉄の重さを上回る想像力の軽さがあり、その軽さのためにJesus の作品は宙に浮くことができる。
 これは、鳥と同じである。鳥の肉体には重さがあるが、鳥は空を飛ぶことができる。
 鳥の場合は、翼が浮力を産み出すが、Jesus の作品は、形への想像力が浮力を産み出す。想像力は、物理的運動をつかみとる理念でもある。
 前回取り上げたJoaquin の作品と比べてみるとわかる。
 Joaquin の作品は、素材(鉄の断片)を組み合わせて、空へ向かって花開いていく。そのとき動いているのはJoaquin の手だ。しかしJesus の作品は空から想像力が舞い降りてきて、素材(鉄)の軽々と引き上げるのである。動いているのは、Jesus は想像力であり、理念である。  

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林達夫「三つの指輪の話」(林達夫著作集3)

2023-08-24 12:14:30 | 考える日記

林達夫「三つの指輪の話」(林達夫著作集3)(平凡社、1979年12月01日、
初版第7刷発行)

 林達夫「三つの指輪の話」には、林達夫の「文体(思想)」の特徴があらわれている。
 林達夫は、彼自身の考えを彼自身のことばでは書かない。他者の考え、他者のことばを紹介することで、自分の考えを語る方法(文体)をつくりだした。「三つの指輪の話」には、それが美しい形で実現している。
 林達夫は、読者を迷路に誘い込む。この世界、この世界に存在するものは、迷路という規則(理性)をもっていることを明るみに出す。その迷路をつくりために林は妥協を知らない。迷路の設計図を、正確に描くのである。
 その設計図ができあがったとき、それは迷路ではない。つまり設計図がわかれば、迷路は存在しないのだが、その設計図を林は「完成図」としては提示しない。
 「結論」はない。いつでも「仮説」というか、未解決のものを残している。「結論」を解放している。
 逆に言えば、林がやろうとしていることは、閉ざされた「解決」を徹底的に拒み、つねにことばを「未知(わからない)」へ向けて解き放つことなのだ。

 もし真理というものがあるとすれば、それは「何かを探す」という行為(思考)のなかにのみあるのだ。「三つの指輪の話」は、信仰(宗教)をめぐる話だが、その「結論」として林が書いているのは、彼自身の「信仰告白=何かを探すことのなかに探しているものがある」ということだろう。


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