詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『OB抒情歌』(1988)(65)

2020-01-09 09:03:39 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (菖蒲の花が咲いている)

重い時間を支えながら
色テープのような虹が消えるまえに

 詩の一部だけを取り出して読むことは「文脈」を無視することである。つまり嵯峨の「思想」とは関係がない。
 と、いえるかどうか、私はかなり疑っている。
 逆に嵯峨の「無意識」があらわれているといえないだろうか。
 なぜ「重い」時間なのか。なぜ「色テープのような」虹なのか。
 菖蒲と花菖蒲は別のものだが、たぶん、ここに書かれているのは花菖蒲だろうと思う。その強い色。強さが「重い」を呼び覚ます。さらに「人工的な(着色された)色テープ」を呼び寄せる。菖蒲の花の鮮やかな色が存在しないなら、虹は「色テープ」とは違うものを比喩にしたに違いないと思う。





*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)

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