詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『OB抒情歌』(1988)(42)

2019-12-10 00:00:00 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (花藤の下に立つて)

朝に夕にあのひとを憎むこころは癒えない

 「花藤の下に立つても」ではない。花藤の下に立って、憎むこころが、その憎しみを暴走させているのを見ているのだ。想像しているのだ。こころは、どんなふうに、あのひとを憎むのか、と。

砂の上にその名を書きちらし
はては罵りつつ力をこめて踏みつける

 「名」を踏みつけるとき、こころを踏みつけるのだろう。あのひとの、こころを。そのとき、嵯峨のこころと、あのひとのこころが直に触れ合うのだ。










*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
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