福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

韓国社会のQueen旋風

2019年01月18日 |  〇映画・映画音楽

■보헤미안 랩소디  「ボヘミアン・ラプソディ」 2018年 〇〇〇--



韓国では2018年の10月末に公開され、現在(19年1月18日)も
ロングランが続いている映画「ボヘミアン・ラプソディ」を、やっと
ネット上で見ることができた。

イギリスのロックバンド、クイーンのボーカルだったフレディ・
マーキュリー
の半生を描いた映画。

ロック好き(なんちゃってレベル)の中高年「ヲタク」が、楽しみにして
いた作品だ。


△空港の作業現場で「PAKI」と呼ばれていたフレディ(映画より)

「ヲタク」の印象で言えば、この映画では、彼の民族的背景(インドの
マイノリティーであるパールシー出身)やセクシャリティー(バイセクシャル)の
問題、身体的欠点(出っ歯)、さらにはメンバーとの確執などが、
比較的、丁寧に描かれていた。


△地元のライブハウスでもフレディを「パキ」とやじる声(映画より)

しかし、当然のことながら、彼の魅力の核心が、そういう問題に
あったわけではない。

イギリスや祖国はもちろん、ある面、男女で構成される家族や人類
からも疎外され続けた男だったからこそ、彼の発する魂の叫びが、
人間存在の本質を突く歌となり、世界の人々を魅了し、勇気付ける
ことができたのではないだろうか。

例えば「ヲタク」は、クイーンの代表曲である「We Are The Champions」の
「We」とは、フレディ個人を始め、疎外され、自信を失った人々を
含む、「全ての人々」と解釈している。

この曲が世に出たころは、自己陶酔の匂いが鼻について好きになれ
なかった「ヲタク」だが、今では、この曲を、フレディが、くじけそうに
なる自分自身や
「My Friends(人類)」を鼓舞するために歌った
曲だと確信している。

どんな状況にあろうが、自分を含め、全人類の一人一人が、みな
世界チャンピョンなのだ、と。

ここで、フレディの残した言葉を一つ、紹介しておく。

“俺はアリーナの最後列の人たち、入場できなかった人たち、
シャイな
人たちのために常に歌って繋がっているんだ。
批評家や虐めっ子たちを
飛び越えられることを見せるんだ。
俺にそれが出来れば、誰にだって
やりたいことは出来る
はず。” by フレディ・マーキュリー
(NHK クローズアップ現代「クイーンは世代を超える!そのワケは?2018/12/6」)

そういう思い入れを持つ「ヲタク」からすれば、この映画は、往年の
クイーン人気を上手に刺激し、話題を振りまき、大ヒットはしたかも
しれないが、彼の魅力の核心を伝えることには失敗している。

いずれにしろ、映画「ボヘミアン・ラプソディ」が、大いに韓国社会を
揺さぶったことは事実である。


△海外作品歴代興行成績(韓国映画振興員会)

公開以来、観客動員は900万を突破し、社会現象とも呼べる大ヒット
(海外作品歴代6位)を記録した。

ちなみに観客動員が600万を突破した日本(人口は韓国のおよそ
2・5倍)と比較しても、その人気ぶりは際立っている。


(終わり)



韓国情報 - 海外生活ブログ村 ← ポチッと応援 →