釜山の日本総領事館前に、一旦は東区の判断により撤去されていた
慰安婦像が、再度、市民団体の手により設置され直した、とのこと。
いい悪いは別として、韓国社会においては、「国民感情」という巨大な
怪物を味方につけた市民団体の行動は、法律や行政の力でも制御が
不可能なのだ。
△釜山日本総領事館裏手に再び設置された慰安婦像(ニューシス)
個人的には無言のままやり過ごしたい厄介な問題ではあるが、釜山市
東区(妻の出身地)に関わりを持つ韓国「ヲタク」として、ノーコメントを
決め込むのも、ちょっと卑怯(ひきょう)な気もする。
そこで、今回の事象を受け、「ヲタク」の胸に去来した二つの雑感を、
この場を借り、正直に記録しておくことにした。
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まず、いわゆる「国民感情」のやっかいさについてだ。
△「誇りある日本を取り戻す!」
これは、ナショナリズムの負の側面や、自民族中心主義の問題とも
深く関わる問題だろう。
△「日本はなめられている」
例えば、「ヲタク」の住む日本社会においても、日本人拉致問題の
発覚を受けて沸き起こった「とにかく、北朝鮮はけしからん!」という
「国民感情」の陰で、全く無関係な在日朝鮮人の人権を踏みにじることを
当然視するような風潮が生まれている。
△「美しい日本!」
冷静に考えれば、拉致問題の解決に向け、一番の協力者になって
もらうべき在日朝鮮人を、なぜ敵対視し、いじめる必要があるのか。
理解に苦しむ。
実質的な被害の質を考えた場合、韓国の慰安婦像設置問題より、
日本の在日朝鮮人いじめ(具体的には朝鮮学校いじめなど)の方が、
より悪質な問題なのではないか、と「ヲタク」は考えている。
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次に、いわゆる慰安婦自体に関する雑感だ。
過去、農地改革など夢にさえ見ることのできなかった、半封建的な
地主制のはびこる日本の農村で、貧乏な小作農の家に生まれてしまった
ばかりに、親や兄弟を助けるため、しかたなく遊女に身を落とさざるを
得なかった女性たちが、日本や朝鮮、台湾に、どれほど多くいたの
だろう。
△「押しつけ憲法が諸悪の根源だ」
特に、植民地であった朝鮮や台湾では、10代の少女まで人身売買の
対象として放置され続けた。(「婦人及び児童の売買禁止に関する
国際条約」に関する除外宣言)
戦時中ともなると、どんな「仕事」をさせられるのか知らされないまま、
あるいはだまされ、日本軍が管理する、いわゆる「外地」の「慰安所」に
送り込まれた(売り飛ばされた)朝鮮人少女が数多く存在したであろう
ことは、想像に難くない。
「ヲタク」は、現代韓国社会で一般に流布されている、日本軍や日本の
官憲の手による20万を超える朝鮮人女性の強制連行などという俗説には、
何らの根拠もないことを知っている。(関連のブログ記事)
△「神州日本は無敵だ」
しかし、過去、日本軍が設置し管理した慰安所で人間としての尊厳を
踏みにじられた女性(慰安婦)が大勢いた、という歴史的事実が忘れ
去られることがないよう努力することは、現代の日本人、そして
韓国人や台湾人の義務だと考えている。
特に中国大陸や東南アジアの占領地などでは、一部に現地の日本軍の
手による強制連行的な慰安婦集めが行われたことは、軍関係者の日誌や
証言からも明らかにされている。
日本人慰安婦も含む、多くの慰安婦の無念や悲しみに思いをはせる時、
「ヲタク」は、奈良の大仏よりも大きな慰安婦像が中国や東南アジアの
各地に、そして韓国や日本に建立されてもおかしくないと考えている。
△「南無阿弥陀仏」
(終わり)
参加カテゴリ:地域情報(アジア)