■영도 「(直)影島」 2015年 〇〇〇--
(553)
2015年に公開されたインディーズ系のノワール映画。
△プサン市影島(映画より)
映画の題名通り、舞台はプサンの影島。
連続殺人犯を父親に持った主人公が、幼くして母親からも捨てられ、
祖母と2人、冷たい不条理の中に取り残される。
△映画には「ヲタク」がよく知る草梁洞の高校も登場した
成長するにつれ、「怪物の息子」とちょっかいをかけてくる
不良たちとのいさかいが増え、警察からも目をつけられていく。
それでも、高校を退学になった後、すさんでいくばかりの彼を気に
かけた不動産屋の主人の尽力で、やっと遠洋漁船の船乗りになる
ことが決まる。
彼には、常に力になってくれる幼なじみもいたし、加えて、昔、
母に連れられ家を出た兄の家族との交流も始まった。
ようやく、父親の影から脱出する出口を見つけたかに見えた主人公
だったが、結局、船の出港の前夜、そのささやかな夢さえ叶える
ことができないまま、この世から消されていく。
影島からの彼の脱出を阻み、彼の命まで奪ったのは、皮肉にも、
長い間、その存在さえ知らなかった弟だった。
「ヲタク」の好きなプサン方言が、ほぼ生の形で登場していた点は
非常にうれしかったが、内容的には全く救いのない暗い映画だった。
(終わり)
■봄날은 간다 「春の日は過ぎゆく」 〇〇---
(552)
2001年、韓国で最も権威のある映画賞である青龍映画賞で、最優秀
作品賞を受賞した作品。
俗っぽい言い方をしてしまえば、この映画に登場する女性主人公は
非常に美しい女性ではあるが、かなりの悪女である。
△主人公を演じた女優はイ・ヨンエ
彼女は、江原道の地方ラジオ局でアナウンサー兼PDをしている。
バツイチの一人暮らし。得意料理はインスタントラーメンで、
キムチの漬け方もしらない、というから、元来、家庭向きの
女性ではないのだろう。
仕事で出会った年下の男(トンセン)と恋愛を楽しむかと思えば、
結婚を意識し始めた彼と気持ちのずれを感じ始め、別の男を作る。
年下男にばれないように二股を試みるが、それが難しいと見るや、
年下男をいとも簡単に切り捨ててしまう。
年下男は彼女への未練が絶ち切れず、無様な醜態をさらしながらも、
何とか失恋の痛手から立ち直っていく。
それからしばらくして、ふとしたはずみに年下男のことを思い出した
彼女は、気の向くまま、以前と変わらない美しく魅力的な姿で年下男の
元を訪れ、よりを戻そうとする。
△2人の別れのシーン(映画より)
しかし、今度は年下男が彼女をふる。
それでも彼女は、何事もなかったかのように、笑いながら彼に
握手を求め、立ち去る。
実に虚無的な恋愛ドラマであった。
なお、この映画からは、2つの名セリフ(流行語)が生まれ、以後、
韓国語の中に定着した。
①라면 먹을래요?(ラーメンでも食べて行く?)
主人公女性が、車で送ってくれた年下男をアパートに誘う時に
言った言葉。
②버스하고 여자는 떠나면 잡는게 아니란다.
(バスと女は、去ったら追うもんじゃないって言うよ。)
失恋後、沈んだ表情で縁側に腰掛けていた年下男に、祖母が
かけた言葉。
■밤치기 「(直)夜打ち」 2018年 -----
(551)
2017年のプサン国際映画祭で上演された独立映画。
独立映画を作る若い女性が、シナリオ作りの参考のために一人の
年上男性に謝礼を払い取材を始める。
△男性に自慰やセックス、初体験などについて質問する女性監督(映画より)
実は、その取材は彼女が男性に近づくための口実で、最終的に
彼女は男性に告白するが、ふられてしまう。
2人のアラサー男女の会話を盗み聞きしているようで、韓国語の
いい勉強にはなったが、映画自体には全く共感できなかった。
独立映画とは言え、何とも変わった映画であった。
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■그녀를 믿지 마세요 「彼女を信じないでください」 2004年
(550) 〇〇〇〇-
2004年、120万(公式統計)を超える観客を動員したラブコメディ。
△仮釈放の審査の場でウソ泣きする主人公(映画より)
主人公は、詐欺罪で収監中の「嘘の達人」で「本当のことを話す時、
顔が赤くなる弱点を持つ」女。
△仮釈放を勝ち取った主人公(映画より)
その女が、名演技で勝ち取った仮釈放後に、忠清北道で薬局を
経営する男と出会い、ドタバタ劇を繰り広げながら、誠実さを
取り戻し、恋を成就させていく。
△男との恋に真実の涙を流す主人公(映画より)
今から15年ほど前の作品だが、主人公女性を演じたキム・ハヌルが、
実に可憐で魅力的だった。
愉快で心温まる映画であった。
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■도어락 「(直)ドアロック」 2018年 〇〇〇〇-
(549)
2018年12月に公開され、150万を超える観客を動員したスリラー。
電子ロックをも破って室内に侵入するサイコパス(人格異常者)に
狙われた女性(銀行の契約社員)が、後輩や刑事らの協力を得ながら、
絶体絶命の危機を乗り越え、サイコパスを打ち倒す。
△電子ロック(映画より)
昨今、韓国では電子ロックが急速に普及しつつあるが(「ヲタク」の
妻の実家もしかり)、この映画を見て、あらためて電子ロックへの
過信が危険なことを認識した人が多かったのではないだろうか。
△サイコパスを打ち倒した満身創痍の主人公(映画より)
それにしても、この映画に登場したサイコパスは恐かった。
(終わり)
2018年冬のプサン訪問では、宿泊したホテルの前の公園で小規模な
集会が開かれていた。
通りすがりに2,3曲の歌を耳にした。
かなりの大音量である。雰囲気的には、屋外のカラオケ大会に
似ていた。
ヘバラギのサランウロを歌った男性は、高音もよく出ていたし、
なかなかいい声をしていた。
△鄭撥(チョン・バル)将軍像前の公園
警察による物々しい警備の隙間からは、かろうじて「民衆党」なる政党の
赤い旗などが見えた。
市民団体の集会だったようだ。
ところが、その日の夜だったか。
ネットニュースを通じて初めて、その集会が、釜山日本領事館前の
慰安婦像横に新たに徴用工像を設置しようとする人々が開いた集会で
あったことを知った。
(終わり)
△釜山港国際ターミナル出口
2018年冬のプサン訪問では、プサン港到着後、まずシャトルバスで
釜山駅裏(東口)まで行き、その後、ホテルまで歩いた。
途中、釜山駅2階の展望デッキからは、再開発(大型土木工事)中の
ウォーターフロント越しに、綺麗にライトアップされた釜山港大橋や
影島の夜景が見えた。
釜山駅の正面(西口)では、大がかりな改装工事が続く駅前広場
越しに、市街地の街明かりが見えた。
△プサン駅正面(西口)2階から市街地を望む
不景気と言われながらも、土木・建設関連の工事だけは非常に
活発に行われているプサンである。
ところで、今回、「ヲタク」は、プサンの別の工事現場で働く
外国人労働者の一団を見かけ、ちょっと驚いた。
今や、プサンの工事も、外国人労働者抜きでは進まないのである。
(終わり)
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