■시동 「エンジンスタート」 2019年 〇〇〇〇-
(938)
2019年12月に公開され、320万を超える観客を動員した
ヒット作。
△家出少年が身を寄せた群山の中華料理店(映画より)
ソウルの少年が家出して身を寄せた群山(全羅北道)の
中華料理店を舞台に、それぞれに濃い事情を抱えた人々が
繰り広げるコミカルな人情ドラマ。
△チャジャン麺を食べる家出少年(映画より)
「ヲタク」好みの、なかなか面白い映画だった。
△チャジャン麺を食べるみなし子の少女(映画より)
それにしても、この映画くらいチャジャン麺
(炸醤麺)を見せつけられた映画も珍しかった。
△中華鍋は韓国語で웍<wok>とも呼ぶ(映画より)
この映画のチャジャン麺は、単なる料理を超え、
準主役と言ってもよいほど重要な役割を担っていた。
△足を洗おうとしているヤクザとチャジャン麺(映画より)
特に、主人公の元ヤクザが自ら中華鍋(웍)を
握って作ったチャジャン麺を弟分にふるまう場面は、
一つのハイライトシーンだった。
△弟分を演じた男優はプサン出身のパク・ヘジュン(映画より)
弟分にとって、兄貴分の作ったチャジャン麺を食べる
ことは、兄貴分がヤクザの世界から足を洗い、料理人に
なることを認めることを意味していた。
△元ヤクザの作ったチャジャン麺(映画より)
こんな映画を見た以上、次回のプサン訪問時には、
少なくとも一皿はチャジャン麺を食べねばなるまい。
(終わり)
■수퍼 디스코 「スーパー・ディスコ」 2019年 〇〇---
(937)
2018年に制作された音楽ドキュメンタリー。
世界的規模で活動している韓国の5人組ディスコ
バンド「スルタン・オブ・ザ・ディスコ」の誕生と
成長の記録。
特に「ヲタク」の趣向に合う音楽ではないが、
このドキュメンタリー自体は、そこそこ面白く
見れた。
△東京の豚骨ラーメン
アメリカや日本(東京、札幌、神戸、福岡)での
活動も紹介されていたが、なぜか、彼らが東京で
博多風豚骨ラーメンを食べるシーンが記録されていた。
(終わり)
■눈발 「降りしきる雪」 2017年 〇〇---
(936)
2017年に公開されたインディーズ系の青春ドラマ。
物語の舞台は慶尚南道のコソン(固城)。
水原の高校で問題を起こした男子高校生が、父親の
故郷である固城に一家で転住し、固城の高校に
転入する。
△高校生の父親は牧師(映画より)
そして、その高校で、いじめにあっていた1人の
女生徒と出会い、仲良くなる。
彼は彼女をかばい、いじめっ子グループと喧嘩も
した。
もはや恋人同士である。恋した女生徒は、見違える
ほど奇麗になった。
△物語の舞台は慶尚南道固城(映画より)
しかし、ある行き違いから男子生徒は女生徒を
避けるようになる。
それまで、どんなにいじめられても学校を休む
ことのなかった女生徒が、男子生徒の心変わりに
ショックを受け、学校を休んだ。
男子生徒が自分の行いを後悔し、乾いた田に
寝転がり、雪の降る空を見つめるシーンで
映画は終わる。
何とも中途半端な展開の映画だった。
ただし、慶尚道方言に愛着や関心のある人には、
一見の価値のある作品だろう。かなり自然な慶尚
南道の方言が登場していた。
아저씨 그냥 가입시더.
(運転手さん、こんまま行きんしゃい。)
これは、映画の中で、ある老女が発した言葉だが、
「ヲタク」自身、慶尚南道馬山出身の義理の弟
(妻の妹の夫)の慶南弁を思い出してしまった。
プサン育ちの妻や妻の兄弟らとは微妙に異なる
フレーズを口にするのが義理の弟だ。
「ヲタク」の中で、「가입시더」(行きましょう、
行ってください)は、義理の弟に特徴的なフレーズ
である。
(終わり)
△ネギ、キャベツ、卵は独自に加えた食材。
最近、「ヲタク」がハマっているインスタントの
韓国チャンポン。
基本的に辛い物が苦手な「ヲタク」だが、この
チャンポンのスープは、抑制されたの辛さの中に、
かなり強い甘みがあるのだ。
오뚜기(メーカー)の진짬뽕(製品名)。
おススメの逸品である。
(終わり)
■나쁜 피 「汚れた血」 2012年 -----
(935)
2012年に公開された成人指定の復讐劇。
母子家庭で育った女性が、大学の交換留学で
スペインに旅立つ前、母親から、死んだと聞か
されていた実の父親について、衝撃的な話を
聞かされる。
彼女の父親は、高校時代の母親の友人の兄で、
女子高生だった母親を強姦した後、母親が妊娠し
出産したことも知らずに暮らしている、と。
△ヌードを含む体当たりの熱演を見せたユン・ジュ(映画より)
その話を聞かされた女性は、実の父親への復讐を
決意する。
彼女は、スペインから帰国後、すぐに興信所を
使って父親の居場所を探し出し、自分の肉体を道具に
捨て身の復讐を実行に移す。
まず、自分を性に開放的な尻軽女と見せかけ、男
(父親)に近づいていく。そして、何も知らない男を
自分の部屋に誘い込み、油断した男に一撃を加える。
結局、彼女は父親を「殺す価値もない男」と思い直し、
男から謝罪を引き出したところで、復讐に終止符を
打った。
△性を道具に父親に復讐した主人公(映画より)
しかし、物語はそこで終わらない。
彼女が男の住む街を後にしようとした日、皮肉にも、
その街で唯一信頼した屋台店主の手にかかり、
バラバラ殺人の犠牲者になってしまう。
何とも虚無的な結末で、後味の悪さだけが心に残る
映画であった。
<追記>
「公開停止」措置を受けた記事。
gooblog利用規約違反の疑いのある主人公の
ヌード画像(極小サイズ)を削除の上、再投稿。
(終わり)
■그랜드파더 「グランドファザー」 2016年 〇〇〇--
(934)
2016年に公開されたノワール風の復讐劇。
主人公は、過去、ベトナム戦争に従軍し、勲章まで
もらった経歴を持つ帰還兵の老人。韓国に帰還して
以降ずっと、凄惨を極めた戦場のトラウマや枯葉剤の
後遺症に苦しめられながら生きて来た。
現在は、田舎の小さなバス会社で運転手の仕事を
しながら、1人で暮らしている。
そんな老人の元に、都会で暮らす息子の訃報が
届いた。建設途中の高層ビルから転落死した、と
いうのだ。
息子の死因に疑問を抱いた老人は、一人、息子の
死の真相を解き明かしていく。
そして、孫娘を風俗店に売り飛ばした上、息子の
命まで奪った暴力組織のボスに対し、捨て身の
復讐を始める。
△武器は、帰還兵仲間の猟師から手に入れた銃(映画より)
老人は、ベトコン譲り(?)のワナでボスを
仕留めた後、警察に射殺される。
しかし、孫娘が生き残り、平穏な生活を取りもどす
ことができたのは、唯一の救い。
なかなか見ごたえのある復讐劇だった。
(終わり)
■오늘,우리 「今日、私たち」 2019年 〇〇〇--
(933)
2019年に公開されたインディーズ系の青春ドラマ。
4人の女性監督が、現代韓国社会を生きる4人の若い
女性を主人公に描いた、4編の短編映画のオムニバス。
一方的に別れを告げられる女性。愛情や誠意のない
彼氏との関係をズルズル続けている女性。入社予定の
会社から、突然、採用取り消しの通知を受け取った
女性。教授の不正疑惑を批判する壁新聞を貼り、
名誉棄損で告訴された女子大生。
それぞれの物語が、「くじけない」女性像を描いた、
見ごたえのある作品だった。
この映画では、映画の本筋とは全く無関係ながら、
あらためて手書き(風)のハングル文字について
考えさせられた。
日常的には、ほぼ全く手書きのハングルに接する
機会のない生活をしているのが「ヲタク」である。
ネットにしろ印刷物にしろ、目にするのは綺麗で
見やすいハングルばかりである。
ところが、韓国映画の中では、時折、読みにくい
手書きのハングルを目にして困ることがある。
主に登場人物のメモや手紙が画面に映し出される
ような場面である。
△短編映画「대자보」(壁新聞)のオープニング・タイトル
この映画の場合は、4編目の短編映画に出て来た
手書き風のオープニング・タイトルだった。
「ヲタク」には、このタイトルの最初の文字が
読めなかった。
手書きで「Zи」(ラテン文字のゼットとキリル
文字のイ)のように書かれた文字。
確認してわかったのだが、正確なハングルでは
「대」と書くべき文字だった。
あるいは、この程度の「クセ」(変形)の存在は、
ハングルを使用する「大人」なら、自分が使う
使わないは別問題として、わきまえておくべき
範囲に含まれるのかもしれない。
(終わり)
■덕수리 5형제 「ダイナマイト家族」 2014年 〇〇〇--
(932)
2014年に公開されたコメディタッチのサスペンス。
結婚(共に再婚)15周年の記念日を前に殺害された
夫婦には、5人の子どもたちがいた。
父親の連れ子2人、母親の連れ子2人、そして父母が
再婚後に出来た子1人の合計5人兄弟だ。
△父方の次男はドジな警察官。韓国でも柔道は「柔能制剛」(柔よく剛を制す)。
父母の再婚以来、父方と母方に別れ、仲の悪かった
兄弟たちが、事件を機に、初めて力を合わせ、父母の
命を奪った連続殺人犯をつきとめ、逮捕する。
凄惨な事件をコメディタッチで描く手法には相当な
無理を感じたが、物語の展開には、すっかり引き込まれた
映画だった。
(終わり)
■청춘빌라 살인사건 「青春マンション殺人事件」 〇〇〇--
(931)
2020年1月に公開された虚無的なブラックコメディー。
一軒の豪勢なマンションを舞台に、金融業者の大富豪と後妻、息子と先妻の
娘の4人が、殺し屋の男たちを巻き込みながら、命がけの財産争奪戦を
繰り広げる。
そして、この親も子もない四つどもえの殺戮戦の最終勝利者が、先妻の娘に
落ち着こうとした時、息子の放っていた最後の殺し屋が現れ、母親の代わりに
娘を襲うところで映画は終わる。
物語の展開の切り替わりが速く、何とも忙しい映画であった。
おもしろい映画では全くなかったが、一か所だけ、「ヲタク」に強烈な
印象を残したシーンがあるにはあった。
それは、清楚な美女にしか見えなかった先妻の娘が、自分のために働いた
(父と継母と異母弟を殺害した)殺し屋の男を、最後に始末した格闘シーン。
△スカートの中に男を誘う先妻の娘(映画より)
まず彼女は、「見るだけよ、触ったらダメ」と言いながら、男を自分の
スカートの中に誘い込む。
△「見るだけよ」「触ったらダメ」(映画より)
そして、男をしっかり股間に引き寄せた後、いきなり柔道(柔術)の
三角締めだ。
△しっかり男を引き付ける女(映画より)
清楚で美しい黒髪の女が、白いパンツを丸出しにして、2本のきれいな脚で
男を攻める。
△いきなり三角締めを決める女(映画より)
女は、きれいな脚で男の首を絞めあげ、ついには男の息の根を止める。
△乱れる黒髪と白いパンツ(映画より)
その格闘シーンが、実に生々しくてエロかった。
△何ともセクシーな三角締めである(映画より)
実際、一度でいいから、こんな美女に素足で三角締めをかけられてみたい
ものである。
落とされたって(気絶させられても)かまわない。
本気でそんなことまで妄想した、柔道経験者(2段)の「ヲタク」であった。
(終わり)
■계절과 계절 사이 「季節と季節の間」 2019年 〇〇〇〇-
(930)
2019年に公開されたインディーズ系の恋愛映画。
1人の女子高生が、コーヒーショップを営む30代の
女性に恋をする。
△女子高生は女性の店でアルバイトをすることになる(映画より)
店主の女性は、生まれ育ったソウルを離れ、新しい
土地で1人の女性として生きていこうとしている、
トランスジェンダー(性別不合)の女性だった。
△女子高生を演じた女優は20代のユン・ヘリ(映画より)
女性は、女子高生の気持ちに気づくが、その
気持ちに応えることはできない。
△ユン・ヘリは一重まぶたの美人
しかし、彼女を愛(いと)おしく思う気持ちは、
日に日に膨らんでいく。
実に切ない恋の物語である。
△「ヲタク」はユン・ヘリのファンになってしまった(映画より)
女子高生の母親の強い反対もあり、一旦は、交流を
絶つ2人ではあるが、2人の再会を予感させながら
映画は終わる。
(終わり)
■집 이야기 「家の話」 2019年 〇〇〇--
(929)
2019年11月に公開されたインディーズ系の家族ドラマ。
腕のいいカギ職人ではあるが気難しい性格をしている
初老の男と、新聞社で編集局の仕事をしている末の
娘が主人公。
△店の裏手が父娘の家(映画より)
物語の舞台は仁川(インチョン)の下町。
妻が男と離婚して家を出て行って以来、上の
娘家族も男と疎遠になってしまい、現在、男との
つながりを何とか維持しているのは下の娘だけ。
物語は、娘が古いアパートを出て新しいアパートを
決めるまで、しばらく仁川の実家で過ごすことに
なったところから始まる。
実は、その同居が父娘にとって、ともに過ごす
最後の時間になってしまう。娘は知らされて
なかったが、父親はがんを患っていたのだ。
何とも切ない父娘の物語だった。
△出前のチャジャン麺と酢豚を食べる父と娘(映画より)
ところで、「ヲタク」が気にし過ぎるから余計に
気になるのか。この映画でも、父娘がチャジャン麺と
酢豚の出前を取って食べるシーンが印象に残って
しかたなかった。
韓国の食文化を探求する意味からも、「ヲタク」自身、
もっと積極的にチャジャン麺を食べるべきなの
かもしれない。
(終わり)
■18: 우리들의 성장 느와르 「18:僕らの成長ノワール」 2014年
(928) 〇〇---
2014年に公開されたインディーズ系の青春ドラマ。ただし、
成人指定。題名にある「ノワール」という単語に引かれ、
見ることにした。
物語の舞台は、京畿道プチョン(富川)市。
主人公は、母親と2人暮らしの男子高校生。どこにでも
いそうな、おとなしくて目立たないタイプの少年だ。
その彼が、クラスの高慢な級長からやり込められている
ところを助けてくれた不良少年と仲良くなり、少年の
グループと行動を共にするようになっていった。
たばこにお酒、異性交遊に他校生徒との喧嘩。そして、
学校や大人への反抗。彼も世間で言う不良になっていく。
しかし、好きになった女の子をめぐり、グループ内の
格上の少年からリンチまがいの暴行を受け、大けがを
負ってしまう。
△暴行を受け、彼女へのラブレターを奪われる主人公(映画より)
時にはつらくて危険な目にあいながら、それでも
仲間との友情を頼りに、一歩一歩、自立に向かって
歩んでいく主人公たち。
文字通り血を流しながら歩む、痛みを伴う自立への
道程を描いた青春ドラマであった。
(終わり)
■영화로운 나날 「映画的な日々」 2019年 〇〇---
(927)
2019年12月に公開されたインディーズ系の恋愛映画。
売れない若手俳優の男と科学(理科)の教師であり
ながら占いが大好きな女の恋物語。
一旦は、ささいな誤解から喧嘩別れしてしまった
2人だったが、最後に仲直りしてハッピーエンド。
映画の本筋とは全く無関係ながら、この映画では、
主人公の男が、中華料理店で飲むシーンが印象に
残った。
△中華料理店で先輩俳優と飲む主人公(映画より)
それと言うのも、「ヲタク」自身、つい2、3日前に
次回のプサン訪問時に訪ねる中華料理店を決めた
ばかりだったからだ。
その店は、プサンの中華街にある餃子専門店。
まだ一度も入ったことのない店だが、その店が
餃子以外にも炒肉飯(「ヲタク」の大好物)など
食事も提供していることを、ネット情報で
確認できたのだ。
春になるのか、それとも夏か。次回のプサン
訪問が、今から待ち遠しい「ヲタク」である。
(終わり)
■남자와 여자 「男と女」 2018年 -----
(926)
2018年に公開されたインディーズ系の夫婦コメディ。
バレー(舞踊)が得意な体育教師の夫と刑事の妻が
主人公。好き合って結婚したはずなのに、結婚後、
2人の関係は急速に悪化し、最近では、事あるごとに
衝突してばかり。
△危機に陥った主人公夫婦(映画より)
そういう2人の関係を改善するため、夫はバンジー
ジャンプで記憶喪失にかかったふりをして、関係を
一(いち)から築き直そうとする。
そうした夫の涙ぐましい努力の甲斐もあり、妊娠
したことを夫に切り出せないでいた妻が、妊娠の
事実を夫に伝えたことで、2人の関係は劇的に
好転し、ついに2人は幸せな毎日を取り戻す。
正直、ここまで退屈な映画を見たのは久しぶり
である。
まさに、日本のことわざにある「夫婦喧嘩は犬も
食わない」を証明して見せたような韓国映画だった、
と言えよう。
(終わり)
■마중 : 커피숍 난동 수다 사건 「お迎え : 喫茶店しゃべくり騒動事件」
(925) 2018年 〇〇---
2018年に公開された異色のヒューマン・コメディ。
映画は、7人の男性グループが、街のオシャレな
コーヒーショップの一角に陣取り、傍若無人な
ばか騒ぎを繰り広げるシーンで始まる。
△7人の同級生たち(映画より)
彼らは、仲の良い同級生のグループで、1人の
男の34歳の誕生日を祝うために集まった。
△店長から注意された男たちは、店の外でチャジャン麺を食べる(映画より)
それはそれでいいのだが、問題は、とにかく
彼らのふるまい。
コーヒーショップに焼酎やチャジャン(炸醤)麺を
持ち込み、店主から注意されるかと思えば、女性客に
ちょっかいをかけ、連れの男性客とトラブルを起こす
など、その傍若無人な振る舞いは度を越していた。
映画を見る者の神経まで逆なでし、不快にさせて
しまうくらいに悪乗りしている。
ところが、彼らのそうした非常識なふるまいには、
ちゃんとした理由(経緯)があったのだ。
伏線としては、怒った店主がグループを制止しに
かかったものの、グループの代表格の男と何やら
話し合った後、態度を豹変(ひょうへん)させる
シーンがあった。
あろうことか、店主自らがグループのテーブルに
出向き、焼酎を差入れするなど、グループに何らか
特別な事情があることを示唆していたのだ。
とにもかくにも、映画は終盤部で、意外などんでん
返し(種明かし)に突入する。
長々とバカ騒ぎを繰り広げ、散々周りに迷惑を
かけた男たちが、ついに騒ぎに区切りをつけ、
店を出る。
向かった先は、何と大きな病院の個室。
映画を見る者は、この時点で、6人の男たちが、
不治の病で入院中の同級生が34歳の誕生日を
迎えたその日、彼を見舞うため、まず、彼の
病室を訪れていた事実を、初めて知ることになる。
結局、病室に充満する、やり場のない感情が、
彼らを常軌を逸した行動へと走らせてしまった
のだった。
真っ昼間、病室を飛び出した患者と6人の友人たちに
適当な行き場所などあろうはずもなく、7人は、
街のコーヒーショップに乱入するように入店した、
というわけだ。
△友人らが皆帰った後、1人むせび泣く男(映画より)
街から病院に戻った後、友人が1人、2人と病室を
立ち去って行く。
そして、一人ポツンと残された男が、しばらく
ベッドの上で肩を震わせながらむせび泣く。
最後に男が顔を上げ、何かを吹っ切ったように
笑った後、空になったベッドを見せながら、
映画は終わる。
△最後に泣き笑いする男(映画より)
見る者の感情をいいように手玉に取り、最後は、
見る者の心を切なさでいっぱいに満たして終わる、
という手法の映画だった。
個人的に、この種の計算高い映画は、全く好きに
なれない。
それにしても、この映画でもまた、「ヲタク」の心に
強い印象を残したのがチャジャン麺だった。
△おいしそうにチャジャン麺を食べる男(映画より)
友人がコーヒーショップに持ち込み、患者の男が、
わざわざ店の外に出て食べた、テイクアウトの
チャジャン(炸醤)麺。
ここまで来ると、もはや韓国映画、いや韓国人の
人生は、チャジャン麺抜きには成立しない、と
考えても、あながち間違いではなさそうだ。
(終わり)