BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

機動戦士ガンダム 水星の魔女 第6.5話 総集編 感想: 『水星の魔女』ってやっぱり相当シェイクスピアの『テンペスト』を意識しているよねw

2022-11-13 19:02:29 | 水星の魔女
グエルの中の人がナビ役をしてその分笑えた、ということを除けば、普通の総集編だった。

でもいい機会だから、水星の魔女、自体を振り返っておこうかな。

今回の総集編を見て思ったけど、この物語、基本的なストーリーラインは、ずいぶん、シェイクスピアの『テンペスト』を意識しているよね。

タイトルにある「魔女」にしても、スレッタ母の名の「プロスペラ」にしても、スレッタの乗機である「エアリアル」にしても、ついでにいえば、ミオリネが口走った「ロミジュリったら」にしても。

これだけ連発されると、見る側からしたら、シェイクスピアの作風、あるいは、シェイクスピア作品の書かれた時代状況とか、普通に気になってくる。

もちろん『テンペスト』のプロットも。

第6話で、プロスペラがエアリアルは自分の子どもと発言したことや、エアリアルのビット群のなかにエランが子どもの姿を見出したこととか、からすると、プロスペラとエアリアルの関係が、『テンペスト』同様、魔女と精霊の関係に見えてくる。

そう思うと、スレッタを守ろうとしたビット群が、まさに精霊の群れに見えてくるし。

スレッタの反応を見れば、ビット群が勝手に動いてスレッタを守ってくれたようだし。

とにかく、シェイクスピアや『テンペスト』が雛形にあるんだ、と視聴者に思わせるのには、すでに成功しているよね。

で、そこに、従来からある、いかにもガンダムなガジェットやネタが上乗せされてくる。

エランが「強化人士4号」というのは、フォウ・ムラサメのフォウ=「4」とかけたもの、という具合に。

グエルが、ジェリドだったりコーラサワーだったりするところも。

そういうガンダムのテンプレで、話の展開を一気に加速しても納得させることができてしまう。

だって、それがガンダムのお約束だからw

次回の第7話は、タイトルからして「ガンダムしましょ」なので、ガンダムのテンプレの利用は、今後、加速するのだろうな。

で、こうした『テンペスト』+「ガンダム・テンプレ」の上に、もろもろの最近の流行りが盛られてくる。

国家ではなく宇宙開発企業が中心であるとか、まったくもって今日的でし。

百合やら、学園モノやら、に見られるキャラの関係力学を持ち込んだりして。

さらにいえば、いわゆる大河内一楼流の、絶妙の引きで次回につなげるクリフハンガーぶりとかw

こんな感じだから、読み解きやら考察やらも含めて、楽しめてしまうわけで。

なので、このままのテイストでこの先も突っ走ってくれるといいのだけど。

セリフのおかしさも含めて、よく作り込まれていて、面白いことは間違いないので。


とまれ、エアリアルの正体、いつバレるのだろう?

意外と次回だったりするのかもね、この展開の加速ぶりからしたらw

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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第6話 『鬱陶しい歌』 感想: そうかやっぱりエリクトはエアリアルになっちゃってたのか。。。

2022-11-06 19:40:44 | 水星の魔女
まさかバースデーソングが呪いの歌になってしまうとは。

「鬱陶しい歌」ってバースデーソングのことだったのか。

厳しいなぁ。

エラン、まさか、ヘイト集めた次の話でいきなり殺処分されるとは。。。

しかし、前回も書いたけど、これ、ガンダムでは強化人間は死ぬもの、というテンプレがあるからこそ、一気に進められた話だよね。

このエグい展開の速さは大河内流だなぁ。

これで次回登場するエランは、5人目となるし。

にしても、このエランシリーズは、本体のクローンなのか、それとも、別の個人が整形とか改造されてオリジナルのエランに似せたものにされたのか、そのあたりはちょっとはぐらかされてしまった気がする。

あのエランの母親らしき人の姿は何だったのか?、ということになるし。

4人目のエランにされた人物の本当の母親だったのか?

それともオリジナルのエランの記憶まで盛り込まれたのか?

でも、一瞬映ったエランの母親の背景がどうにも金持ちの家には見えなかったので、やっぱり孤児が拾われてエランに改造されたと思うほうが正しいのだろうな。


とは言え、今回の最大のポイントは、そのエランの母親?の記憶を呼び起こさせたのが、エアリアルのガンビットの中?に閉じ込められていたであろう何者かの意志のように見えたこと。

エアリアルのシステムには、人間の脳神経系がひながたになっていた、というのはほぼ確定だね。

そして、その雛形となった素体が、プロローグでルブリスを動かしていたエリクトであることも。

なにしろ、冒頭Aパートのママンの発言で、エアリアルのことを娘とよんでいたし、プロローグの事件が起こったのが21年前だったってことも明らかにされていたから。

21年前じゃ、今のスレッタの年齢と合わないからね。

しかし、こうなると、むしろ、スレッタ自身が、エリクトのクローンの可能性が出てきた。

それまでの失敗作のエリクトクローンがすべてエアリアルのガンビットに利用された、と思う方がいいのだろう。

だから、エランがエアリアルのオールレンジ攻撃を受けたときに感じたのは、自分が単にオリジナル・エランの身代わりであったのに対して、エアリアルとスレッタが事実上、クローンとして同一の存在だったってことだったのだろうな。

それなら、エアリアルは、最初からスレッタの拡張身体のようなものだし、操縦者ひとりが受けていた負荷を、エアリアルの中の、ガンビットの中の、エリクトの脳神経系が引き受けることで、スレッタ自身の負荷は事実上ゼロになる、ということで。

その意味で、エアリアルはスレッタと完璧なまでの「人機一体」を実現させた。

そんなシステムを、自分の娘を使って実現させたのだから、ママンの狂気はとんでもないよね。

それくらい復讐の意志が強かったということで。

まさに、シェイクスピアの『テンペスト』の魔女プロスペローをもじったプロスペラをその何しているだけのことはある。

マジで、ママン、魔女だよ。


ともあれ、今回は前半の山場になったね。

これで次回、総集編というのは上手いな。

ここまでの展開を振り返ることで、エアリアルとスレッタの存在のイメージが明らかになるから。

なんか、総集編といっても、エランの会社関係者のスレッタに対する分析になりそうだけど。

いっそのこと、エランが語り部になったら、スゴイけど。

あ、そうそう、グエルだけど、これは彼も地球寮に合流する流れかな。

そういう意味では、今回の敢闘賞はなにげにニカだよね。

エンジニアとしてのニカの背景も気になってきた。

絶対修羅場の経験者だよね、ニカも。

実は、魔女の娘だったりして。

あ、ミオミオがすでに正妻づらしているのはちょっと笑えた。

うーん、しかし、エラン、ここで退場かぁ。

すごいな、大河内!

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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第5話 『氷の瞳に映るのは』 感想: 今回、初めてこれがガンダムサーガのひとつなんだと実感したよw

2022-10-31 00:51:39 | 水星の魔女
やっぱりエランは強化人間だった。

正確には強化人士4号というようだけど。

「人間」と「人士」って微妙に違うのが、後で聞いてきそうだけど。

4号っていうから、最初はクローンの4番目と思ったのだけど、下には違う顔があったりして、って言葉を口にしたことを思うと、きっと孤児だった子どもが試験体として引き取られていろいろといじられた、ということなのだろうな。

で、今回、ファラクトでグエルwとの決闘を行って、ファラクトがガンダムであることもバラしちゃったから、次回、評議会がどういう反応をするか、がちょっと気になる。

もちろん、エランの処遇も、だけど。

それを突破しないと、スレッタVSエランの決闘は了承されないんじゃないかな、と思ったりする。

ただ、その決闘を首尾よく進めるために最後に、ヴァナディーズ機関時代にプロスペラの同僚だったベルメリアがプロスペラを尋ねることになったのだと思いたい。

一種の脅しね。

プロスペラの正体を秘匿するから、決闘はさせろ、と。

次回はきっと、プロスペラとベルメリアの対話を通じて、ヴァナディーズのその後の話もされるのだろうな。


にしても、今回、初めて、この作品がガンダムサーガを引き受けているものだと思った。

それは、強化人間、というガンダムのお約束を使ってとっとと話を進めてしまったから。

ものすごいショートカットだよねw

その意味では、決闘システムは上手い物語装置で、決闘だ!といっていきなりモビルスーツ戦に入っていけるのがスゴイ。

結果、あっという間にファラクトまで登場。

ついでにいえば、グエルが完全にコーラサワー枠になっていて笑えるw

なんだかんだいって、スレッタの騎士を目指してるんだな、と。

ついでにいえば、ミオミオもまたすっかりスレッタは自分のものと思っているのも笑える。

てか、ミオミオもスレッタについて地球寮に普通に出入りしているし、いつの間にか、チュチュとも罵倒枠の女子二人みたいになっていて、ちゃんと学園しているのが可笑しい。

で、そんなギャグ枠のグエルとミオミオを差し置いて、シリアス枠でエランがいきなり強化人間枠のエピソードを始めるのだからw


しかし、あのエランの反応を見ると、どうやらエラン的強化が施されているのはスレッタではなくエアリアルの方みたいだね。

しかも冒頭の占いの際に、正体不明の兄弟のような存在がほのめかされていたから、そうなると、スレッタはエリクトの妹、と言いたいところだけど、しかし、父親がなくなっているので、妹をつくるのは難しい、しかし、スレッタには父と教えられているとなると、やっぱり、スレッタはエリクトの複製体ってことになるのかな。

で、エリクト自身の脳神経系をベースにエアリアルのシステムが構築されている、という感じ。


そうなると、多分、その秘密を明かすことも含めて、いったん、エアリアルがエランの手に渡る展開もありなのかなぁ。

ただその場合、誰がエアリアルをエランからスレッタのもとに取り戻すのか、という非常に何度の高い問題が生じてしまうのだけど。

そこでようやくシャディクの登場なのかね?


ともあれ、ガンダムサーガの物語のお約束を使って物語の展開を加速させながら、途中での謎掛けや最後の引きのところで、コードギアス的やきもき感を醸し出すのだから、これはやっぱり、面白いよw

これだと意外と早く、スレッタの正体もはっきりするのかもねw

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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第4話 『みえない地雷』 感想: スレッタとエアリアルが特別な関係にあることを暗示したエピソードだったなw

2022-10-23 18:56:05 | 水星の魔女
地味といえば地味だった第4話。

でも、アクションなしで、こういう物語世界の社会状況を描く回も必要だからね。

とりあえず、アーシアンがスペーシアンに虐げられている構図があるのはわかった。

そこに水星がどう絡むかだけど。

少なくともスレッタが地球寮に加わった、ってことは、アーシアンと同じ位置に水星も置かれる、という位置づけでいいんだろうな。

ていうか、逆にスペーシアンの拠点ってどこなんだろう?

おいおい説明されるのかな。


にしても、さすがの大河内一楼。

冒頭の短いAパートで、前回の引きのグエルくん告白事件wを一瞬で処理しきったw

なんかこのリズム、ギアスを思い出させるような瞬殺的処分で笑える。

とりあえず、グエルは、スレッタに対する告白を、自分自身でチャラにしたみたいだけど、あれ、どう見ても、ただのツンデレ王子にしか見えないので、この先、どういうタイミングで、グレルがスレッタに手を指しのべるのか、気になる。

まぁ、それも含めての、スレッタの周りをうろつくエレンなんだろうけどw


しかし、今回の地雷突破試験の様子を見ると、やっぱりエアリアルって、スレッタに完全カスタマイズされた機体であることが明らかさにされた気がする。

というか、エアリアルは、事実上、スレッタの身体の一部のようなものなのだろうね。

操縦系の基本コンセプト自体が全く異なるのだろうね。

いまどきの各種情報サポート付きのオートマしか乗ったことがない人が、いきなりただのマニュアル車に乗れ、という感じかね。

とにかく、今回の描写を通じて、エアリアルとスレッタの特別な関係性が逆に際立った気がする。

そういう意味で、この地雷試験、地味だけど、もりだくさんだな。

結果、スレッタは地球寮の面々と関わることになったし、

きっと、ミオリネも、あれだけ地球に行きたい行きたいと言ってるのだから、スレッタ経由で絶対関係するようになるだろうし。

グエルのこともあってスレッタを独占したいミオリネが自分からスレッタのサポート役のポジションを占めるようになったし、

その過程で、スレッタが学園に来た理由が、いつか水星に学校をつくりたいから、という動機も分かったしw

正直、え? それって、さすがにラブライブすぎじゃね? って思って呆れたけどね。

でも、そういう個人的な譲れない動機がないと、頑張れないのが今の時代、ってことだよね。

イデオロギーなんて皆無で、日常の維持が唯一の動機の源。

そういう意味では、アーシアンの窮状をどう本編に組み込むかは、大河内の腕の見せどころ。

下手すると、ただの巨大な労働争議に終って、鉄血の二の舞いになる。

まぁ、スレッタママンの陰謀がそこで絡んでくるのだろうけど。


にしても、ママンはひどいなぁ。

スレッタの、水星で学校を作りたいという夢を利用して、自分のコマとしてスレッタを学園に送り込むのだから。

うーん、やっぱり、これ、スレッタは、プロローグに出てきたエリーじゃなくて、そのクローンだったりするのかな?

さすがに実の娘を復讐のための刺客に使ったりしないよね?

『水星の魔女』の面白さについてちょっと書いてみたように、もしも、スレッタがママン、というかプロスペラの手によるマシンチャイルドだったとしたら、ミオリネやエラン、あるいはグエルまで含めて、皆、親の所要物のように使われる身であることに理不尽さを感じて、親殺しの反乱を起こすのかもしれない。

まぁ、その方が、老害憎し!の今の世相に合っているのかもしれないけれど。

そこもまた大河内の差配に期待したいところ。

とまれ、次回は、いよいよエラン回・・・かな?

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『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が大化けしそうなほど好評な、タイトルに隠された2つの理由

2022-10-23 13:18:09 | 水星の魔女
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が、一気に注目株として上昇してきた。

百合だ、はめふらだ、ともっぱらキャラの関係性で盛り上がってきているけど、それはそれとして、物語としても面白いなぁ、と思ってきている。

そしてその仕掛けはタイトルに綺麗にこめられているなぁ、と。

一つは、「水星」であること。

ガンダムに限らず、今までよくアニメに出てきた、火星でも木星でもなく、ましてや太
陽系の外宇宙でもなく「水星」に焦点を当てたこと。

プロローグでも語られていた通り、太陽フレイアにより近い水星の過酷な環境で生存できる身体を得ない限り、人類が外宇宙に自信をもって進出することはできない、という冒険魂が込められている。

要するに今の地球で言えば、超深海の過酷な環境でも生きていけるような人類に「進化」しない限り、宇宙で生きていくことはできない、という見通し。

今までのガンダムが、ニュータイプという精神的オカルトでなんとなくごまかしたり、あるいはSEEDのコーディネーターみたいに、遺伝子操作で超人を作っちゃいました、というような安直な(バイオ)テクノロジー信仰とかでやり過ごしてきたところを、わりとハードSF的に、その「進化の過程」を示す方向に舵を切った。

その「人類の進化」のための、過酷な環境として選択されたのが「水星」だった、ってこと。

つまり、水星は、植民先の火星や資源採掘先の木星とは異なり、最初から「過酷」だからこそ選ばれた。

なぜなら、ヴァナディーズ機関代表のカルド・ナボ博士は確信していたように、その水星の過酷さこそがGUND-ARMの開発のために必要だったからだ。

このカルドの開発思想として選択されたのが、人間と機械の接合という、コンセプトとしては古いけれど、2020年代現在、むしろ現実味を増している開発方向だった。

つまり、遺伝子操作よりも、人間の機械化の方を優先する思想。

その典型がスレッタの母プロスペラの右手の義手ということ。

プロローグで描かれていたように、プロスペラはGUNDの実験担当者として、試験機であるガンダム・ルブリスの起動を試みていた。

もっとも、彼女までは機械工学ベースの開発が中心だったようだが、幼児のスレッタが、いきなりルブリスを稼働させてしまったことを踏まえると、水星という生育環境がすでに、子どものスレッタの身体に何らかの適用を迫っていて、その結果、ルブリスの稼働をなしてしまったようにも見える。

つまり、バイオテクノロジーによってGUNDフォーマット理論をセカンドステージに上げさせる可能性が、スレッタという成功事例によって示唆されている。

第2話でプロスペラが、評議会に語っていた「エアリアルは(封印された技術である)ガンダムではない」というのは、そういう意味なのかもしれない。

むしろ、スレッタの頭脳や身体に合わせて開発されたのがエアリアルで、その意味で、エアリアルも、スレッタ同様、成長するAIなのかもしれない。

ここでちょっと脱線すると、プロローグの顛末を見ると、このエアリアルの「成長するAI」の雛形になったのは、プロローグでスレッタたちを守るために亡くなったスレッタの父ナディム・サマヤなのかもしれない。

あるいは、カルド・ナボ博士の脳配線データ、という可能性も捨てがたい。

脱線ついでにもうひとつ書いておくと、すでにガンダム名の専用搭乗機をもつエラン・ケレスは、ガンダムのお約束的に言うと、強制的にGUND-ARMとの適合を図られた、いわゆる「強化人間」枠のようにも見える。

つまり、人工的に作られたスレッタ、ということ。

場合によっては、デザイン・チャイルドなのかもしれない。

そう考えれば、エランが、自分は人間には関心を持ちえない、と触れ回っているのも理解できる。

エラン自身、自分がガンダムに登場するためだけに(彼のスポンサーであるペイル社によって作られた)人造人間であることを自覚しているからかもしれない。

と、ここまで書いてふと思ったけど、もしかしたら、そもそもスレッタ自身が、水星でカルド・ナボ博士によって「調整」されて生まれたバイオテクノロジーの産物なのかもしれない。

プロローグでの、スレッタの家族の描写は、物語的には盛大なミスリードであったということ。

そうひねくれた見方をしてしまうのも、シリーズ構成・脚本を担当したのが大河内一楼からなのだけどw

ともあれ、本作については「水星」が重要な意味を持つ、というのが今までのガンダムとは異なりユニークなところ。

実は、太陽系のうち、地球の外側の星ではなく内側の星に向かったところには、比喩的には、より「心の奥底」である「内宇宙」に向かったことも意味しているように思えるのだけれど、つまり、『メイドインアビス』的な意味合いも込められているように思っている。

こちらは、物語の終盤で、象徴的に意味を持ってきそうなものだけど。


で、もう一つのタイトルのキーワードだけど、それは、「魔女」であること。

魔女とは、禁忌を犯す存在であり、これまでの常識を覆す存在である。

それにはジェンダーとして、現状の世界を統べる男性ではなく、女性があてがわれていた。

よく知られるように、西洋中世において、魔女=ウイッチとは、必ずしも女性のことだけを意味しておらず、男性のウイッチもいた。

つまり、魔女とは、現在の秩序の破壊者を象徴している。

で、そう思うと、いきなり第1話のラストで、ミオリネに「水星ってお硬いのね」と言わせて、同性婚もありの未来世界を匂わせたことも理解可能となる。

破壊者の筆頭は、魔女というように本作においては「女性」だけれど、その魔女という存在は、必ずしも女性というジェンダーに左右されるものではないこと。

であれば、第3話ラストで、グエルがスレッタにまさかの求婚をしたのも理解可能。

彼は彼で、自分を認めてくれる相手とともに、今の体制を「ぶっ壊す」側に映っていくのだろうし。

というか、学園のスレッタの同級生たちの多くはそちら側につくのだろうな。

なにしろ、このミオリネ父による独裁国家的企業グループが、宇宙に出ていく際に有益なあり方とは思えないから。

もっとも、この点は、今後、もっと具体的に、しかもエグく描かれていくのだろうな。

なにしろ、大河内一楼がシリーズ構成なのだから。

大河内一楼という「崩し」の巧者の安定感は半端ない。

大河内は、また父殺しが好きだから、きっと終盤では、スレッタが、母プロスペラと敵対する展開もあるのだろうな。

なにしろ、スレッタのバディはエアリアルだからね。

シェークスピアの『テンペスト』では、魔女プロスペローの使い魔である大気の精霊がエアリアルだからw

スレッタがエアリアルをプロスペラから奪い取る動きはきっとあるはず。

とまれ、まだまだ思いつくことは多いのでまた次回。

ホント、久しぶりに大河内一楼っぽい作品で笑えるw


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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第3話 『グエルのプライド』 感想: アハハ、スレッタ、もう学園の超人気者じゃんw

2022-10-16 19:51:22 | 水星の魔女
いやー、マジでこれ、面白いわw

にしても、最後の最後で、グエルがおちるとはw

グエル、チョロすぎw

まぁ、そりゃそうだよね、親、兄弟、友人、取り巻き、その他もろもろの、周りの誰一人として、グエル本人ではなく、グエルの一族や企業のことだけを考えていたところで、スレッタだけが、ただ一人、グエルのことを正面から見てくれたわけでしょ。

しかもスレッタは、本気勝負の自分にちゃんと勝ったのだから。

その上で、事前に「逃げたら1つ、進めば2つ」って言葉を告げられていれば、そりゃ、やられちゃうよねw

それにしても、チョロすぎなんだろうけどw

しかし、シリーズ構成、上手いよね。

第1話で、ミオリネとの関係とVSグエル戦をやって学園の雰囲気を伝え、

第2話で、今度はモビルスーツの背後にいるオッサンたちの「企業政治」の話をベタにやり、

この第3話で、再びVSグエル戦にして、最後にグエルがおちて終わりw

もしかしてグエルってZのジェリドっぽい役?って思っていたら、あっさりスレッタ命の男1号になっていたw

ホント、主人公のジェンダー、入れ替えるだけでこんなにわかりやすく面白い展開になるのねw

アーシアンvsスペーシアンの確執の中で、確実にスレッタ派も形成されているしw

一躍、時の人じゃないか、スレッタw


まぁ、でも物語構成的に大事なのは、キャラどうしの連帯感をどうやって形成していくか、ということで、そのためのルートを今風の味付けにしたら、こんな感じになりました、ってところだよねw

とにかく、ちゃんと1話でそれなりのオチがつくのがいいw

はたしてスレッタ株はどこまで上がるんだろう?

なにげに「水星ちゃん」という愛称もいいよねw

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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2話 『呪いのモビルスーツ』 感想: 配役のジェンダーを入れ替えて「仮面の女」を出すだけでこんなに面白くなるとは思わなかったw

2022-10-09 19:36:14 | 水星の魔女
いやー、やっぱりこれ、面白いよ。

ちゃんとあの決闘から、エアリアルは、GANDAMという違法技術を使っているからとりあげる、パイロットも退学、って真っ当な流れを作っておいて、その上で評議会を通じて、それが違法ではないことを示そうとする。

まぁ、法の抜け道だよね。

どう見ても、レディ・プロスペアって、能登声も含めて、スレッタの母でしょ。

で、その母が、決闘相手のグエルの親父と手を組んで、エアリアルの存在を認めさせた上で、ミオリネ父に復讐していく、という展開だよね?

こうした物語の基本設定の説明と必要な人物紹介を、この評議会のシーンで全部カバーしているのだから。

その上で、そこに、あー、なんだミオリネ、地球にトンズラかー、と思っていたミオリネが現れて、まさに姫として、誰も口を出せない父デリングに、皆が聞く前で啖呵を切らせて罵倒させるのだから。

いやー、痛快痛快w

その娘の大活躍の横で、復讐を狙うスレッタ・ママンが、グエル・パパンを抱き込んで、一緒にデリング、潰したろぜ!って持ちかけているんだからw


しかし、シャアに始まる仮面の男を、仮面の女に代えただけで、こんなに話がきらびやかになるのだから、素晴らしいw

さすがは大河内。

ギアスを書いたのは伊達じゃないw

要するに、ジオン公国にあたるのが、デリングを総裁とするベネリットグループってことでしょ。

グループ企業に番付をするところからして、グループへの利益貢献で序列をつける、文字通りの企業帝国なわけで。

そこに仮面の女が、亭主と師匠を殺された恨みを、正当な手段で返していく、という展開。

だって、スレッタ・ママンがベネリットグループ入りするのとか、そこだけみればシャアが、キャスバルの名を捨ててジオン軍の士官になるのと全く同じじゃない。

なので、一応、グエル・パパンがガルマポジションなんだろうなw


でここまではある意味、ガンダムのお約束的プロットを、仮面の女の復讐譚を真ん中において書き直しただけ、ともいえるわけだけど。

でも、スレッタの退学をなくすのに、再び決闘をする展開にミオリネが持ち込んだ、という流れは、廃校をなくすためにコンテストに出ます、というラブライブとか、同じく廃校を避けるために大会で優勝します、というガルパンと同じ構図w

決闘の条件を引き出してきたミオリネが、実はとってもスレッタのことが気に入っている、ということを表現してもいるわけで、

どんだけ、ミオリネ、ツンデレなんだよ、ってのも含めて笑える。

というか、このためにCVがLynnなんだな、ってここも納得w

ということで、いやー、とにかく面白い。

このままDV親父だらけの気持ち悪い昭和じみたベネリットグループに、ぜひ、鉄槌を下してほしいぞ、エアリアルw

いや、ファンネルで瞬殺かw

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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第1話 『魔女と花嫁』 感想: めっちゃ「リバタリアン」でシリコンバレーなガンダムだなw 素晴らしい!

2022-10-03 01:10:53 | 水星の魔女
いいねー、これ。

いろいろと新鮮。

当世の「リバタリアン」なガンダムだよなw

異性愛にこだわらないところとか、企業が国家経営にのりだすところとか。

でもさ、もともとニュータイプとか、あるいはコーディネーターとかいって、人類の進化をテーマにしていたのなら、これくらい軽くやってほしいよね。

っていっても、別に今のところ、スレッタとミオリネの関係は親密な女性どうしくらいだから、それがこの先、どうなるのか? とかいっても、そんなにガチに深刻なものにはならないんじゃないの?

そもそもミオリネの一族が、というか父親が、プロローグにあった水星の魔女への攻撃の首謀者だったわけでしょ?

だったら、むしろ、ミオリネって、シャアにとってのガルマみたいな存在だよね?

だから、そのあたりの復讐?をからめた愛憎劇もやろうと思えば可能かも。

でも、それをガチでやったら、ただの復讐劇でルルーシュになっちゃうからそれはないんじゃない?

あと、企業がコロニーを経営しているようだけど、これはとても今風だよね。

それこそシリコンバレー的。

でももともと植民地経営なんて、東インド会社からスタートしたようなものだから、全然ありでしょ。

むしろ、今までのスペースコロニーが最初から国家政府の監督下にあったほうが不思議なくらい。

なので、そのあたりの「企業経営者が国家を運営したらどんなことになるのか」というシミュレーションとしても見ることができそう。

いや、これは結構、大きなことで、もともとガンダムって、第2次大戦や中東戦争をモチーフにして始まっていたわけで、それを911以後の情勢変化で「00」ではテロ戦争にシフトして、そこでは勝手連の民間軍事会社が国家の正規軍に喧嘩を売る、ってことをやったわけだし。

まぁ、その後の「鉄血」は、単にヤクザの抗争にまでテーマが落ちちゃってあららーだったけどw

そういう意味で、今回は、極めて今日的な、グローバルノースとグローバルサウス、そこに多国籍企業と多国籍金融がかかわるような「多元的な国際関係」の延長線上にある世界をモチーフにしそうだからね。

そのあたりは、結構楽しみだな。どう解釈されるのか。

だって、きっと水星の魔女にしても、それらは一種のコロニー企業国家だったんでしょ。

だからこそ、エアリアルの開発まで行っていたということで。

これエアリアルを兵器と考えれば民間軍事企業国家、ってことになるのだろうけど、でも、プロローグの様子を見ると、むしろ、エアリアルという人工知能インターフェースの開発をしていた、という感じがする。

だから、スレッタの母親の右手が義手だった、なんて描写もあったのだと思う。

だから、エアリアルがそもそも兵器なのか?という問題もこの先、出てきそう。

エアリアルの開発のために、さしあたって必要なルートが兵器のように見える巨大ロボットの開発だった、ってことのような気がする。

むしろ、宇宙開発用の、言葉の意味どおりのパワードスーツの開発だったんじゃないのかな。

ガンダムというよりは、アイアンマンに近い感じ、かな。

だって、実際、エアリアルは自律的な判断を可能とするAIシステムも稼働しているわけでしょ?

そのインターフェースに水星生まれ?のスレッタくらいしか適応者がまだいなかった、ってことじゃないのかな。


という感じで、これ、普通におもしろい。

大河内一楼は、コードギアスでも当てたからね。

あの時のような新鮮な目線で、2020年代の国際社会情勢、技術開発状況、人種やジェンダーが織りなす社会問題、などを咀嚼して組み込めば、きっとおもしろい作品になるように思える。

てか、そもそもアスティカシア学園が、シリコンバレーのブートキャンプにしか見えないんですけどw

とにかく、そういう深読みが、少なくとも開始当初はできそうで、楽しい。

ホント、こういうのでいいんだよ。

『ククルス・ドアンの島』みたいな、まさに高齢アニメ関係者の救済のためのような作品なんて、マジで作ってる場合じゃないんだよ。

最低限、ガンダムのプラモが売れれば、あとは今風の物語に組み替える。

それを徹底させるほうが、よっぽど健全だよw

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