採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

マイタケ発生

2009-11-16 | +きのこ原木栽培(マイタケ等)

しばらく前ですが、父がマイタケのホダ木作りに挑戦したそうです。私は全然知らなくて、手伝いませんでした。
「何しろものすごく大変だったんだから」と力説するので、父に作り方を取材してきました。
解説のイラストが書けるといいのですが、とりあえず文章だけ。

様々な困難はあったけれど、まずマイタケの植菌方法のパンフレットの解読が最初の問題。2,3種類も読みあさったけれど、どれも書いてあることが違うのだそうです。
私もシイタケの時に駒打ち方法の説明チラシを読んだけれど、紙面が小さくて文字数が限られているという点を差し引いても、日本語自体が意味不明なのです。誰も読む人もなく校正する人もなく何十年も経っているのでは・・・・。

科学的・総合的に判断して、独断で実行!

■■マイタケの植菌方法(父の奮闘記)
(1)コナラ、もしくはミズナラの丸太を用意する。2月に伐採したものをしばらく乾燥させ、3月下旬に作業するのがよい。
今回は、那須の庭に生えていたコナラを使用。直径23cm、高さ18cmの丸太を8個用意した。1個の重さ約6キロ。計48キロ分の丸太。
丸太はノコギリで底に十字の刻み目を入れ、1昼夜水に漬けておく。

(2)20リットルのドラム缶(直径30cm高さ40cm程度)を2つ用意し、1つにつき丸太2個と水をたっぷり入れてたき火にかける。
このとき木挽き台のようなものにドラム缶のツルをかけ、その下でたき火を燃やした。
たき火のコツをつかむのにかなり時間がかかり、沸騰まで1時間もかかった。
そして更に、くつくつ煮えている状態を4時間半持続させる必要がある。これもまた、火力の調整等が必要で、たき火につきっきりになる必要があり、猛烈に大変。
4時間半後には水は真っ黒になっている。

(3)丸太を煮ている間、ほだ木保管用のビニール袋もガスコンロで煮沸消毒しておく。この袋はマイタケ専用で、空気は通すけれども雑菌は通さないようになっているとか。

(4)木挽き台にぶら下がっている熱々のドラム缶2個の総重量は40キロくらいになる。
これをなんとか地面に置く(ひとりでの作業なのでかなり工夫が必要)。
熱々の丸太の底の刻み目に針金を通し、その針金を持つようにしてお湯から取り出す。
これを煮沸したビニールに1個ずつ入れる。
ドラム缶2個なので、計4袋になる。自然に冷ましておく。

(5)丸太がまだ4個残っているので、丸太を煮る水は取り替えて(2)~(4)の作業をもう一度繰り返す。

(6)ほどよい温度に冷めた丸太に、瓶に入った粉状のマイタケ菌をふりかけて擦り込む。
マイタケ菌は雑菌にとても弱いようで、瓶のふたがものすごく固くしまっている。
ドラム缶2つ(40キロ)×2回、丸太6キロ×8回の重量物を運んだ後には、フタ開けが、また一苦労。
(もともと手首を痛めているので)
これが終わったの頃にはもう夜中の1時頃になっていた。

(7)ビニールの口を縛り、室温でおく。すぐに菌糸が蔓延し、丸太が真っ白になってくる。
ちょくちょく袋を開けて白く菌糸がまわった様子を友人に自慢したりして大喜びしていたら、うち3つくらいが雑菌に覆われて、真っ黒といってもいい程になってしまった・・・。ガックシ。だが、仕方がないのでそのまま放置。

(8)7月中旬に、地中に埋め込む作業をする。
丸太の上10cmくらい土がかぶるように、30cm程度の穴を掘る。全ての丸太をくっつき合うように配置し、土をかぶせておく。

(9)うまくいくと10月初旬にはマイタケが発生する(シイタケは植菌の1年後なのに比べるとマイタケは展開が早いですよね)。
3~4年は続けて出て、回収率((きのこの重さ)/(丸太の重さ))は30~50%だそうです。(30%としたって、15キロものマイタケが?)


そして10月になりました。
父が久々に那須へ行ってみると・・・・。


な、な、なんと!

2009/10/05マイタケ大中小

マイタケが!
3個も!

あれだけ苦労をしたので、まさに舞い上がる程の大喜び!

2009/10/05マイタケ大

一番大きいものは、蚊取り線香の大缶と比べても、まだ大きいです。キャベツくらいかな?

2009/10/06マイタケ大

これは翌日の写真。比較物がないためよく分かりませんが、一晩で目に見えて大きくなっていたとか。

採ってみたらかなりの重さだったそうです。

2009/10/05マイタケ中

こちらは中サイズマイタケの10月5日のようす。

2009/10/06マイタケ中

翌日10月5日には、確かにかなり大きくなっているような?
初日にはチマチマした花びら状の部分が、ややゆったり伸びているような気がします。

2009/10/05マイタケ小

こちらは小サイズ。
左に見えるのは4ッ割りの角材。

これで丁度1パック分のマイタケくらいの大きさでしょうか。でもこれはまだ赤ちゃんなので、もっと成長するはずです。

2009/10/06マイタケ小

翌日にはこんな感じ。
アングルが違うし角材もないのでよく分かりませんが、着々と成長中です。


この後、毎日成長を見守っていましたが、大きなものはついに収穫。
父の実家に持っていって、おばあちゃん(父の母)に天ぷらを作って食べさせてあげたそうです。

雨滴の跳ね返りがあったのか、折角のマイタケだけれどところどころに砂をかんでいるところもあったとか。
でも、私もこの天ぷらの残りを食べたのですが、私のには砂はあたらず、すごく美味しかった!

後日小さいマイタケが育っているかと見てみると、この頃の雨不足で伸びないまま乾燥気味だったとか。(でも天然干しマイタケですよね)
虫出しがてら水に漬けたら、また大きく戻ってきたそうです。


きのこにとっては条件がよくなかった今年の秋ですら、3個もの収穫。
ということは、条件がよければ・・・・。むふふ・・・。ぐふふふふ・・・。
(だって数年で15キロ・・・)

来年の秋もとても楽しみです。


お父さんへ:
たったひとりでの植菌作業、本当にお疲れさまでした。もしまたやることがあれば手伝いに行きます。
来年秋は私も見に行きますのでどうぞよろしく。
何だったら川の水を汲んで水やりしましょうか。


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■マイタケ関連記事
(1)マイタケ植菌奮闘記(父が作業) 2009年3月
(2)2009年10月 初のマイタケ発生
(3)2010年 記録なし。猛暑乾燥の夏で発生しなかったのかな?
(4)2011年10月12日(うちに届いた日) 巨大マイタケ発生! 1.4kgもありました。 
(5)2012年10月8日(うちに届いた日)  2012年も大きいです。 1.0kg。 
(6)マイタケ2013:原木づくり2013
(7)マイタケ2013:マイタケ菌苦戦
カビが・・・。
(8)マイタケ2013:伏せ込み(by父) 
 成功率は低いですが、カマンベールチーズのように真っ白にマイタケ菌が育ったものがいくつもありました。
でもこの時の秋のマイタケの発生はなし(無念)。
雨などの条件が悪かったのだと思っているのですが・・・。
(9)マイタケ2014:原木作り
(10)マイタケ2014:伏せ込み
(11)マイタケ2014:巨大マイタケ発生! (この記事)
2013年に伏せ込んだ場所から、2.7キロの巨大マイタケが出てきました。  

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■参考情報
(1)山梨県森林総合研究所
マイタケほだ木の作り方 PDF
マイタケほだ木の伏せ込み・管理  PDF

(2)
マイタケほだ木の管理  PDF

(3)
マイタケほだ木の伏せ込み (ブログ) 写真あり 

(4)
マイタケの原木作りから伏せ込み 写真多数 

(5)きのこ堂日記(ブログ) の、殺菌原木栽培のカテゴリ
(個人で沢山のキノコを育てている方のようです)
殺菌原木栽培の心構え
燃料の準備 
ドラム缶準備
ドラム缶を蒸し器にする
原木の玉切り、袋詰め
種菌の入手、接種室の準備、その他道具
原木の煮沸 (ドラム缶ひとつにつき、原木12個が煮沸出来るようです)
煮沸終了後の管理 (接種直後にアルコール消毒したプラスチック衣装ケースで保管)
種菌の接種
種菌接種後の管理 (プラスチックの衣装ケースに詰めて保管している)
菌糸の成長に伴って袋の中に溜まる水(分解水)への対応方法
マイタケの伏せ込み (地面に埋める作業)
・過去の日記による試行錯誤の記録 その1 その2 

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