今日の国立演芸場は、「上方落語会」。
久しぶりに、大阪弁の落語を聞けると言うので、楽しみに出かけた。
プログラムは、次の通り。
落語 桂文三 「ちりとてちん」
落語 月亭遊方 「絶叫ドライブ」
落語 笑福亭鶴光 「善悪双葉の松」
―仲入り―
落語 林家染二 「借家借り」
腹話術 千田やすし
落語 桂ざこば 「笠碁」
米朝亡き後、一門の長老であるざこばの落語を聞きたくて出かけた。
ざこばは、随分、前のことだが、仁鶴のNHK「バラエティー生活笑百科」のレギュラーとして出ていたので、その独特の話術なり人柄なりは分かっていたつもりなのだが、まだ、高座を聞いたことはなかった。
あのころと比べれば、随分、老成して風格が出て貫禄がついていた。
開口一番、かわいい孫の話で、あまり寄り付かない話から、行儀見習いに、囲碁を教えていると語り始めた。
1年経って、大分うまくなって、じーじ、手抜かんといてと言うと言う。
高知から出てきた、囲碁のプロになりたいと言う友人の感化で、囲碁が好きになった話の後、朝丸時代に、米朝から、囲碁を誘われた話を紹介した。
「強いですで」と言って勝負をして勝ったので、頑張って強くなれとほめてくれると思ったら、モノも言わずに、憮然として、「二階へ上がって、寝る!」と言ったと話していた。
出し物が、「笠碁」であるから、まくらも、囲碁であったのだが、好きな囲碁の話であるから、手つきも良く、表情も実に豊かで、話術の冴えと言い名調子そのもの、流石に素晴らしい。
この「笠碁」は、元々、上方落語だったと言う。
「碁敵は憎さも憎しなつかしし」と言うお話。
質屋のご隠居のところへ、碁敵の隠居が、毎日通ってきて碁を打っているのだが、丁度実力が伯仲していて勝ったり負けたりで、その相性が良くて、二人だけで勝負をして、一切他人とはやらない。
この二人が、いつも、碁を打っているのか、待ったを打っているのか分からないので、今日は、一切待ったなしで勝負しようと打ち始める。
ところが、旗色が悪くなった質屋の隠居が、待ったをかける。
待ったなしで勝負しようと言うことになったのだから、絶対待てないと言われて、質屋の隠居が、5年前に貸してやった金の利息を待ってやったじゃないかと侃々諤々、碁盤をひっくり返しての大喧嘩。絶交してしまう。
ところが、10日も絶交状態で、碁を打てないとなると、二人とも禁断症状で、暇を持て余して右往左往。
女房に煽られて、キセルと煙草入れを忘れていたの取り返すのを口実に、門前まで行くのだが行ったり来たり、それを見た質屋の隠居が碁盤を出して打ち始めると、堪らなくなって駆け込む。一局打たないと返さないと言われて、三局だと応えて、意気揚々。
ざこばは、アンブレラがないので、隠居が簑傘を被ってやって来て、そのままの姿で碁を打ち始めたので、碁盤が濡れる。恐ろしく雨が漏るなあ。笠被りっぱなしだ。
と言うオチは語らず、さらりと、喜び勇んで意気揚々と碁を打ち始めた二人のハッピーエンドで、話を締めくくった。
「笠碁」は、三笑亭可楽と立川志らくの高座を、この国立演芸場で聞いているが、江戸落語であったのだが、これが、オリジナルなのであろうか、少し関西訛りの色濃い落語の雰囲気を味わって面白かった。
噺家によって、バリエーションの違いを楽しむのに格好の落語だと言う感じがしている。
林家染二の「借家借り」は、上方落語で、江戸落語では、「小言幸兵衛」。
家主の幸兵衛が、空き家を借りに来る客に、あることないこと想像逞しく先の先まで読んで貸すのか貸さないのか。
家を借りに来た仕立て屋の美男の倅と空き家の前の古着屋の小町娘とが恋に落ちて子供までもうける話等々・・・とにかく、しなをつくって浄瑠璃まで語る染二の熱演が面白い。
笑福亭鶴光の「善悪双葉の松」は、始めて聞いた。
一寸、圓朝の話に似た感じの人情噺で、
一所懸命に江戸で奉公した武助が、田畑を買い戻すために、故郷信州へ帰るのだが、その旅の途中、山賊に会って身包み剥がれる。帰り道の危険を避けるために、泥棒に錆びた刀を貰って帰るのだが、これが正宗の名刀。再び、金を持って信州に向かい、泥棒に再会して、汗水垂らして貯めた金と取り替えて貰おうとしたら、その泥棒が、家を潰した実兄と分かり、兄は自殺する。かどわかされて泥棒の妻にされていた庄屋の小町娘を連れ帰り、家を再興して結婚する。
そんな話だったと思うが、ストーリー展開が器用と言うかゴッチャ煮で面白い。

久しぶりに、大阪弁の落語を聞けると言うので、楽しみに出かけた。
プログラムは、次の通り。
落語 桂文三 「ちりとてちん」
落語 月亭遊方 「絶叫ドライブ」
落語 笑福亭鶴光 「善悪双葉の松」
―仲入り―
落語 林家染二 「借家借り」
腹話術 千田やすし
落語 桂ざこば 「笠碁」
米朝亡き後、一門の長老であるざこばの落語を聞きたくて出かけた。
ざこばは、随分、前のことだが、仁鶴のNHK「バラエティー生活笑百科」のレギュラーとして出ていたので、その独特の話術なり人柄なりは分かっていたつもりなのだが、まだ、高座を聞いたことはなかった。
あのころと比べれば、随分、老成して風格が出て貫禄がついていた。
開口一番、かわいい孫の話で、あまり寄り付かない話から、行儀見習いに、囲碁を教えていると語り始めた。
1年経って、大分うまくなって、じーじ、手抜かんといてと言うと言う。
高知から出てきた、囲碁のプロになりたいと言う友人の感化で、囲碁が好きになった話の後、朝丸時代に、米朝から、囲碁を誘われた話を紹介した。
「強いですで」と言って勝負をして勝ったので、頑張って強くなれとほめてくれると思ったら、モノも言わずに、憮然として、「二階へ上がって、寝る!」と言ったと話していた。
出し物が、「笠碁」であるから、まくらも、囲碁であったのだが、好きな囲碁の話であるから、手つきも良く、表情も実に豊かで、話術の冴えと言い名調子そのもの、流石に素晴らしい。
この「笠碁」は、元々、上方落語だったと言う。
「碁敵は憎さも憎しなつかしし」と言うお話。
質屋のご隠居のところへ、碁敵の隠居が、毎日通ってきて碁を打っているのだが、丁度実力が伯仲していて勝ったり負けたりで、その相性が良くて、二人だけで勝負をして、一切他人とはやらない。
この二人が、いつも、碁を打っているのか、待ったを打っているのか分からないので、今日は、一切待ったなしで勝負しようと打ち始める。
ところが、旗色が悪くなった質屋の隠居が、待ったをかける。
待ったなしで勝負しようと言うことになったのだから、絶対待てないと言われて、質屋の隠居が、5年前に貸してやった金の利息を待ってやったじゃないかと侃々諤々、碁盤をひっくり返しての大喧嘩。絶交してしまう。
ところが、10日も絶交状態で、碁を打てないとなると、二人とも禁断症状で、暇を持て余して右往左往。
女房に煽られて、キセルと煙草入れを忘れていたの取り返すのを口実に、門前まで行くのだが行ったり来たり、それを見た質屋の隠居が碁盤を出して打ち始めると、堪らなくなって駆け込む。一局打たないと返さないと言われて、三局だと応えて、意気揚々。
ざこばは、アンブレラがないので、隠居が簑傘を被ってやって来て、そのままの姿で碁を打ち始めたので、碁盤が濡れる。恐ろしく雨が漏るなあ。笠被りっぱなしだ。
と言うオチは語らず、さらりと、喜び勇んで意気揚々と碁を打ち始めた二人のハッピーエンドで、話を締めくくった。
「笠碁」は、三笑亭可楽と立川志らくの高座を、この国立演芸場で聞いているが、江戸落語であったのだが、これが、オリジナルなのであろうか、少し関西訛りの色濃い落語の雰囲気を味わって面白かった。
噺家によって、バリエーションの違いを楽しむのに格好の落語だと言う感じがしている。
林家染二の「借家借り」は、上方落語で、江戸落語では、「小言幸兵衛」。
家主の幸兵衛が、空き家を借りに来る客に、あることないこと想像逞しく先の先まで読んで貸すのか貸さないのか。
家を借りに来た仕立て屋の美男の倅と空き家の前の古着屋の小町娘とが恋に落ちて子供までもうける話等々・・・とにかく、しなをつくって浄瑠璃まで語る染二の熱演が面白い。
笑福亭鶴光の「善悪双葉の松」は、始めて聞いた。
一寸、圓朝の話に似た感じの人情噺で、
一所懸命に江戸で奉公した武助が、田畑を買い戻すために、故郷信州へ帰るのだが、その旅の途中、山賊に会って身包み剥がれる。帰り道の危険を避けるために、泥棒に錆びた刀を貰って帰るのだが、これが正宗の名刀。再び、金を持って信州に向かい、泥棒に再会して、汗水垂らして貯めた金と取り替えて貰おうとしたら、その泥棒が、家を潰した実兄と分かり、兄は自殺する。かどわかされて泥棒の妻にされていた庄屋の小町娘を連れ帰り、家を再興して結婚する。
そんな話だったと思うが、ストーリー展開が器用と言うかゴッチャ煮で面白い。

