地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

新ジャカルタ炎鉄録 (15) 新パラヒャンガン

2010-10-29 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 ジャカルタに向かう飛行機の中で勉強するのみで全然進歩がないインドネシア語のカタコト単語を動員しながら (いやその、腰を据えて勉強したいのですが、時間が……^^;)、最近のインドネシア鉄道関連掲示板を眺めていますと、注目すべき情報が……。何と!来月からボゴール~スカブミ~バンドゥン間を結ぶルートが復活するようです \(^O^)/ 
 首都ジャカルタと、風光明媚で涼しい西ジャワ州の州都・バンドゥンを結ぶ鉄道は、ブカシ・プルワカルタ経由の北東ルートとボゴール・スカブミ経由の南西ルートがあり、前者はかつてインドネシア鉄道のドル箱であったものの、高速道路の開通後は激しく凋落の一途をたどり……今春のダイヤ改正では「アルゴ・グデ (全1等)」と「パラヒャンガン (1・2等)」が統合されて大減便のうえ「アルゴ・パラヒャンガン」が一日数往復走るのみとなりました (他にもバンドゥン以東・プリアンガン高原へ向かう3等急行「スラユ」が1日2往復あり)。それでも、途中の山越え区間の素晴らしさは筆舌に尽くし難いものがあり、大して面白みもなく渋滞に巻き込まれる可能性が大である高速バスに乗るよりも、鉄道の旅の方が圧倒的に素晴らしいと断言できます。
 いっぽう後者の南西ルートは、活火山であるサラク山やグデ山の麓をぐるりとめぐり、スカブミ前後の区間は素晴らしい景色であるようですが、これまでボゴール~スカブミ間は1日1往復のDCが早朝・夕方に走るのみで、短期間の訪問では使いづらかったのが実情です。そしてスカブミ~チアンジュール間は災害で長らく運休、チアンジュール~バンドゥン間は1日2往復の鈍行がひっそりと走るのみ。そんな、ジャカルタから見て「近くて遠い」路線が復活し、少なくともボゴール=バンドゥン間に優等列車が設定されれば、行きと帰りのルートを変えて「バンドゥン日帰り絶景紀行」を楽しむことが余裕で可能ですし、恐らくボゴールあたりの住民にとっても大いに朗報なのではないかと思われます。ボゴールから州都・バンドゥンに向かうには、かつては峠越えの道を行くバス、今では高速バスを利用することになるわけですが、その高速バスはジャカルタ南東部を経由するため必ず渋滞に巻かれるわけで……所要は速くても3時間半。昨年の初訪問時、バンドゥン日帰り旅の帰りに『地球の○き方』に載っていた峠越えバスに期待してボゴール行のバスに乗ったところ、高速道路に入ってしまって大いに泡を食らわされ……(-_-;)。そんな記憶もあるだけに、ボゴール~バンドゥン間が列車で2時間半~3時間程度 (?) で結ばれるのであれば、単に旅の選択として魅力的であるだけでなく競争力も十分に確保出来るのではないかと想像されます。



 そこで当面の関心事は、(1) 果たしてボゴール~バンドゥン間(またはガンビール~ボゴール~バンドゥン)の優等列車が何往復設定されるのか (2) 列車名はどうなるのか……ということになりますが、本数はとりあえず様子見として2~3往復でしょうか? 現在ジャカルタから北東ルートでバンドゥンへ向かう「アルゴ・パラヒャンガン」が3時間半かかる (昨年と比べてスピードが多少落ちたような・・・) ことを考えれば、もしガンビール発とすると多分3時間半~4時間程度かかるものと思われ、ジャカルタからバンドゥンまで通し乗りたいビジネス客へのアピール度は低い可能性が……。もっぱらボゴール・スカブミ・チアンジュールの住民が州都バンドゥンに快適に往復するための列車という位置づけで走り始めるのでしょう。いっぽう列車名は、一旦消えた「アルゴ・グデ」が復活する可能性や、ボゴールの象徴サラク山にちなんで「アルゴ・サラク」、あるいは行先のバンドゥンの古称と南廻りであることを組み合わせて「アルゴ・パラヒャンガン・スラタン」になる可能性がウワサされていますが、果たしてどうなるのでしょうか?
 何はともあれ、魅力的な風景を結んで走る魅力的な列車が登場することによって、それ自体が観光資源として注目を集め、インドネシア鉄道の収入増につながることを期待したいものです。

 でもって、今夏の訪問時にも電車を待つ間に姿を現した客車列車を撮影したのですが、その中にはバッチリと「アルゴ・パラヒャンガン」のカットも……(*^^*)。「パラヒャンガン」から「アルゴ・パラヒャンガン」に変わったことによる最大の違いは、1等車 (エクセクティフ) が年季の入ったインドネシア鉄道直属車 (腰回りがブルー) から割と新しいアルゴ客車 (独自の列車運行会社に属し、腰回りがグレーとオレンジ) に変更になったことですが、従来「アルゴ」を名乗る列車は全て1等車から組成されるというルールを機械的に適用するとジャカルタ~バンドゥン間の列車はオール1等となり、従来2等車 (ビズニス) を利用していた客層を排除することになってしまいますので、救済策として2等車が連結されるという異例の編成構成となっています。そして、2等車であっても「アルゴ」に連結される車両であることを示すため、2等車の側面には筆記体の赤い字で「Argo Parahyangan」と明記されているのが興味深いところです (2枚目の画像……見づらくてスミマセン ^^;)。ダイヤ改正の前と後で本数×両数を比較しますと、1等車の輸送力は余り減っていないのに対し、2等車はかなり削られているようですので、やはり経済発展の結果としてジャカルタ~バンドゥンのような大都会間の移動ではデラックスな冷房車に客足が移っているのでしょう (そもそもこの区間は高速道路との対抗上大いに割り引かれていますし……)。
 とまぁ、こんな感じであれこれ妄想混じりの内容を綴っておりますと今すぐにでも乗りたい気分になりますが (笑)、とりあえずこの年末年始には別の国を攻略してみたいという気分ですので (インドネシアはぼちぼち雨期ですし・・・)、来年の夏のお楽しみにしておきたいと思っています。その頃にはあんな車両もこんな車両もジャカルタでデヴューするそうですので……(^^;)。