このたび、8日間の日程で訪れた韓国のソウルで、出張撮り鉄を楽しんで参りました。韓国訪問は2回目なのですが、前回の訪問では釜山=ソウルを鉄道で往復したほかは基本的に韓国人の知人の案内で観光地めぐりをしておりまして、鉄道に触れたのは申し訳程度、しかも撮り鉄をしようとしたら制止され、気分も萎えてしまい、それ以来しばらく韓国は鉄道趣味活動に対して冷たい国だと思い、足も遠のいておりました。しかし今回、出張時に余った時間を撮り鉄に回せないものか……と思い実践してみたところ、思いがけず撮り鉄できまくり (*^^*)、成果たっぷりの訪問となりました。
そこで、これからシリーズでご紹介して行ければと考えておりますが、独立した記事を立てる予定はない内容を備忘録としてダラダラと書きつづってみましょう。
*仁川空港鉄道の印象
今年の春に金浦空港まで部分開通した仁川空港鉄道 (A'REX)……「世界に出会う一番の近道」をうたっており、とにかく金をかけまくった巨大な駅舎はアッと驚きの世界。そして、本土と空港がある永宗島を結ぶ大鉄橋&築堤部分は、北に江華島の摩尼山、南に仁川の工業地帯を望む絶景で、まさに瀬戸大橋線を思い出すノリがあります。しかし……客いねぇ! (爆) 空港と駅の間を歩かなければならない間に、リムジンバスは怒濤のようにやって来ますし、しかも電車よりも車・バスの方が速い……(韓国人たちもこの点で「使えない」と言っておりました)。そこで、通常は運賃大幅割引という事態になっております (ロングシートの一般列車:3100→1600ウォン、リクライニングシート?の直通列車:7200→3600ウォン)。もっとも、連休初日にあたる帰国日は正規運賃でしたが (爆)。
金浦空港に到着後、地下鉄5号線でチンタラ各駅停車というのもツライので、一刻も早いソウル駅までの全通が待たれる……と思いました (^^;;
*5000系大増殖
韓国国鉄 (正式名称はKORAILに改称?) の首都圏電鉄線で年々幅を効かせているVVVF車・5000系は、見たところ80数編成が走っており、抵抗制御車・1000系の勢力を押しのけて巨大な勢力となっております……。特に、京釜線・九老=水原=天安間での国鉄車両の運用は、ほぼ完全に5000系の天下となっているようです (少なくとも個人的には餅店・天安行きの1000系を全く見かけませんでした)。さらに、最近首都圏電鉄に組み入れられた中央線では、6000番台の車両も……。
私の趣味活動では、ステンレス製のVVVF車はふだん撮影の対象ではなく、5000系が数本立て続けにやって来ると「はぁ……」と溜め息をつきまくりでした (爆)。しかし……中間サハとして抵抗制御車の中間車を改造した車両が組み込まれている珍編成 (上の画像) につきましては、特例として激写しまくったのでした (笑)。
*京元線の龍山=回基間、路線案内上は中央線に。
ソウルの龍山 (ヨンサン) と日本海側の都市・元山 (ウォンサン) を結ぶ京元線は、途中の新炭里駅にある鉄道中断点で絶たれて久しく、回基 (フェーギ) と議政府 (ウィジョンブ) との間が地下鉄1号線と一体化されて以来「都会の中のローカル線」に転落していた (?) 龍山=回基間は、15〜20分間隔で電車が運行されていました。しかし、最近中央線が徳沼 (ドクソ) まで電化されたことから、龍山=回基間は中央線と系統が一体化され、車内の路線図では「中央線」と表現されています。
*首都圏電鉄でLED化
ここ2〜3年のあいだに首都圏電鉄は、南は京釜線の餅店 (ピョンジョム)=天安 (チョナン) 間、北は京元線の議政府北部 (現在佳陵と改称)=逍遙山 (ソヨサン)、東は中央線の徳沼へと拡大しましたが、それと関連して (?)、国鉄1000・5000系はすべて行先表示がLED化されております。回転幕をご覧になりたければ2/3/4号線へどうぞ。
*光明ゆきガラーン
ソウル市街の南に、当初KTXのターミナル駅とすることを予定して造られた光明駅……。結局はソウル・龍山がターミナルとなっていることから、利用客の低迷にあえいでいる模様。そこで、龍山から南に住むKTX利用客の便を図り、光明駅の利用を促進するために走り始めたと思われるのが、龍山=光明間の区間列車。しかし……いつ見ても超スカスカ (爆)。
*ドアの脇にさりげなく貼ってある小さな広告……相変わらずありました (汗)。
「国家安保は国家の競争力だ!
スパイ・テロの申告は電話111へ。by国家情報院」
*地下鉄・首都圏電鉄線車内で見かけた濃いぃ物売りベスト3
第一位……傘売り
単に傘を売るだけでしたらありふれた (?) 話ですが、この兄ちゃん (30代っぽい)、何と客の気を引いて傘の丈夫さをアピールするために、傘で電車の天井をガンガンガンと思いっきり突きまくっていました……よくもまあ器物損壊で捕まらないものです (爆)。
第二位……栗の皮むき器売り
しかもしっかりと栗の実を持ち込んでの実演販売! 一両づつ移るたびに一個の栗を剥いていったら、いずれ売上高よりも栗の購入費の方がかかってしまうと思うのは私だけでしょうか??
第三位……腰痛用のコルセットらしきもの (?) 売り
単にそれを売るだけではなく、売りに来たおっちゃんがそれをワイシャツの上に巻いているあたり、何とも言えない滑稽さと哀愁がありました……。
他にも、オッサンがストッキングを売りに来たり、オバチャンが男物のベルトを売りに来るなんてのは当たり前。こんなの誰が買うのかよ……と思っていると、結構目の前で売れていったりするからスゴい! 誰も取り締まらず、当たり前だと思っているあたり、要するに電車の車内 (そして、さらに食品系を中心に様々な物売りが勝手に営業している駅構内) は、道路や広場と同じような存在なのかも知れませんなぁ……。数千両の電車がひしめくソウル。そこには数え切れないほどの物売りたちの熱いドラマがあるのです……(@o@;)。
まあ、音鉄系の方にはとても耐えられない世界であることは間違いないでしょう。モーターの音だけが響きわたる静かな車内でも突然口上が始まってしまうのですから (爆)。
*撮り鉄をめぐる事情
結論から申しますと、南北関係の改善によって緊張感が下がっているためか、駅で撮り鉄していても全くとがめられませんでした。但し、あくまで機材のコンパクト化は心がけており、デジ一眼は普段使っている縦位置グリップを外し、海外撮り鉄用として中国訪問時でも重宝しているキヤノンのDOズームレンズを使用しました。そして、あくまでも短期出張・観光客ヅラをして、コソコソと小心な態度ではなく「何が悪い」と大きく構えておりました (笑)。こうして、前回訪問時のトラウマを解消していったのでありました……。
なお、近くに駅員 (38度線の近くでは憲兵も) がいるときには、一言断っておくのが無難だと思われます。よほどのことがない限り許可は出ると思います……(少なくとも私はそうでした)。それでも、白くデカい長玉や三脚の使用はまだまだもってのほかだと思われます。
まあ要するに、その場の空気を読みながら、臨機応変に対応するという鉄則は、鉄道が軍事上まだまだ重要な意味を持っている韓国ではなおのこと必須ということでしょうか。