大阪からかつては青森、そして今は新潟のあいだを結び、北陸線の夜の王者として君臨してきた急行「きたぐに」は、同時に日本最後の583系定期運転列車(「快速あいづ」代走を除く)として、夜行列車の旅情を求めてやまない鉄道ファンの熱い視線を浴び続けて来ましたが、昨今の夜行列車を取り巻く環境の激変に伴い、来る3月16日発車分を以て定期運転を終了するのは周知の通りです。個人的にこの列車は、関西出張ののち長電訪問や上毛大胡まつり・秩父広瀬川原まつりへの参加のために何度か利用したものですが (どーゆー利用目的……^^;)、結構利用価値が高い時間帯を走っているにもかかわらず利用客減→定期運転終了となってしまうのは、それだけ高速バスやツアーバスの攻勢が著しいからでしょうか。そして夜行列車が儲からず、ダイヤ乱れを引きずって他の列車に影響を与えやすく、分割民営化によってJRが生まれたことの負の側面として会社間の調整も手間となり……。こうして、ごく一部の超目玉列車を除いて長年来夜行列車対応の新型車両が出来なかった結果、583系も老朽化の極みに達しているのは否めないでしょう。今回の定期列車としての終焉は、一部の編成をつぶして部品を取り、繁忙期の臨時列車や団臨として辛うじて延命させようという策であると解釈できますが、果たして臨時列車としての運転も何時まで続くでしょうか?
というわけで、名残を惜しむのであればなるべく毎日走っているうちに(そして最終日ギリギリよりも前に)済ませておくに越したことはありません。そこで先日の京都出張にあたっては、駅前の宿に泊まっていたことを活かしまして、6時15分過ぎに到着する大阪行「きたぐに」を撮影してみました☆
まずは5時50分頃に入場券を購入し、昨日アップの通り他の列車を撮影しながら徐々にテンションを上げていたところ……6時10分頃「きたぐに」に関するアナウンスが。何と……北陸線内での線路支障により途中駅を20数分の遅れで走行中とのこと……。まぁ遅延回復走行に努めれば京都到着はもう少々早まるでしょうが、今やJRWがそんなことをするとは思えないのも確かですので、6時20分頃には撮影を終えて6時半から宿の朝食を楽しむという目論見は崩壊……。しかも寒気の入り込みで夜明け前の京都駅は極寒……。思わずひるんで「腹も減ったし、撮らずに宿に戻ろうか」という甘い誘惑が脳裏をよぎったものです (汗)。しかし、やはり「きたぐに」を撮ることの方が重要だ!と思い直しまして、空が白み始めて刻々と露出が変わる中、綿密に試し撮りを繰り返して「きたぐに」到着に備えたのでした。
そして……85mmF1.8という明るいレンズ越しに見つめる3灯ハイビームの強烈なまぶしさとともに、ついに「きたぐに」が到着!! どれだけ長年の痛みや色褪せを重ねようとも、583系の重量感あふれる存在感は圧倒的ですし、背後に巍々として聳え立つ京都駅ビルとの組み合わせも、鉄道というインフラが本来ふんだんに湛えていたはずの重厚長大さを強烈に思い出させてくれます……。「きたぐに」はこうして約2分の停車を経て、大阪へのラストスパートに踏み出して行きましたが、ともあれ残すところあと約1ヶ月となった定期運転が無事故で、そして天候悪化による運休をなるべく免れるものであって欲しいものです……。
※EOS 5D MarkⅡ を使用し、手持ちで撮影しております。三脚・フラッシュは一切使用しておりません。また2枚目の画像は、画面左上に写っている屋根をレタッチソフトで消しております。