~あらすじ~
大島不動産販売の次期社長に目される大島雅弘は難病と派閥争いに苦しめられていた。
彼の世話役の新入社員・若宮恵美子は雅弘を含め3人きりの部署へ異動させられ、無茶なクレーム処理を押し付けられる。
「居座られた部屋」「借りると必ず死ぬ部屋」「ゴミだらけの部屋」……失敗すれば雅弘も恵美子も社を追われてしまう。
数々の問題物件を相手に途方に暮れる恵美子の前に現れた自称探偵・犬頭光太郎は言う。
「おまえは人間にしては見所がある」「は? 人間?」「雅弘を頼むぞ」
~感想~
本格ミステリにおいて斬新なトリックや鋭いロジックとともに作者に求められるのは、いかにして事件を解決させるかという問題である。
多くの作家が頭を悩ませ、また腕の見せどころであるその問題に本作は明快かつ強引な回答をした。それが前代未聞(?)の探偵(?)犬頭だ。
この犬頭(いぬがしら)探偵、一言で言えば超人である。そのチートっぷりたるやかの榎木津礼二郎がかわいく見えるどころか、地上戦ならばスーパーマンともタイマン張れそうなスペックで(注:スーパーマンの眼球に当たった銃弾は粉々になります)神出鬼没に現れては腕力と気合と超能力で証拠を集め、強引に事件を解決してしまう。
珍妙な名前と表紙のイラストのせいで、読者の脳内ではアヌビス神が「犬と人間の境目を見せてあげよう」と暴れ回る光景が描かれてしまうこと請け合いだ。
設定はこのように本格でもミステリでも何でもない破綻ぶりだが、数々の問題物件を成立させる様相は意外とミステリしていて、ラストの「誰もいない部屋」などは泡坂妻夫の某傑作短編(見当のついた方だけネタバレ→)紳士の園 を想起させる顛倒した論理が光る。
ほとんど出落ちのコントさながらの一発ネタながら、シリーズ物の多い作者だけにまさかの続編はあるのだろうか。
13.12.15
評価:★★★ 6
大島不動産販売の次期社長に目される大島雅弘は難病と派閥争いに苦しめられていた。
彼の世話役の新入社員・若宮恵美子は雅弘を含め3人きりの部署へ異動させられ、無茶なクレーム処理を押し付けられる。
「居座られた部屋」「借りると必ず死ぬ部屋」「ゴミだらけの部屋」……失敗すれば雅弘も恵美子も社を追われてしまう。
数々の問題物件を相手に途方に暮れる恵美子の前に現れた自称探偵・犬頭光太郎は言う。
「おまえは人間にしては見所がある」「は? 人間?」「雅弘を頼むぞ」
~感想~
本格ミステリにおいて斬新なトリックや鋭いロジックとともに作者に求められるのは、いかにして事件を解決させるかという問題である。
多くの作家が頭を悩ませ、また腕の見せどころであるその問題に本作は明快かつ強引な回答をした。それが前代未聞(?)の探偵(?)犬頭だ。
この犬頭(いぬがしら)探偵、一言で言えば超人である。そのチートっぷりたるやかの榎木津礼二郎がかわいく見えるどころか、地上戦ならばスーパーマンともタイマン張れそうなスペックで(注:スーパーマンの眼球に当たった銃弾は粉々になります)神出鬼没に現れては腕力と気合と超能力で証拠を集め、強引に事件を解決してしまう。
珍妙な名前と表紙のイラストのせいで、読者の脳内ではアヌビス神が「犬と人間の境目を見せてあげよう」と暴れ回る光景が描かれてしまうこと請け合いだ。
設定はこのように本格でもミステリでも何でもない破綻ぶりだが、数々の問題物件を成立させる様相は意外とミステリしていて、ラストの「誰もいない部屋」などは泡坂妻夫の某傑作短編(見当のついた方だけネタバレ→)紳士の園 を想起させる顛倒した論理が光る。
ほとんど出落ちのコントさながらの一発ネタながら、シリーズ物の多い作者だけにまさかの続編はあるのだろうか。
13.12.15
評価:★★★ 6