~あらすじ~
二人の女性を焼き殺した罪で投獄されたカメラマン・木原坂雄大。
編集者の依頼で彼の本を出すことになった僕は、取材のために面会する。
木原坂は言う。「僕の中の何かが、きみの中に入ってしまうかもしれない。これから死刑になる僕が、きみの中で生き続けるように。……平気なのか?」
2013このミス15位、文春8位。
~感想~
カバーに書かれた「芥川賞、大江健三郎賞、LAタイムズ文学賞最終候補、ウォール・ストリート・ジャーナル2012年ベスト10小説」という仰々しい経歴からして純文学畑の作家のようだが(こんな大物をようだが扱いしている時点でやはり自分は読書家ではない)本作に限って言えば、まぎれもないド本格ミステリである。
登場人物は9割が変態だ。初対面の相手に「さっきお茶を運んできた女は未亡人で僕と定期的にセックスしてます」と謎のカミングアウトをする人形師や、初対面の相手に「あなたの質問はつまらない」とのたまう元ストーカー、初対面の相手に「私は今から向こうの寝室で着替えるけど抱く?」と挑発し手コキしてくれるアラフォー女と、初見殺しが目白押し。
きわめて平易で静かな文体には好感も、変態祭りと豊富なエロ描写、200ページにも満たず1ページあたりの文章量もすっかすかなのに無駄な比喩とスターオーシャンセカンドストーリーを彷彿させる「……」の連発と「これだから純文学は!」と辟易しかけたところに、解決編が始まるや序盤の展開からは想像だにしなかった怒涛のどんでん返しが重なり、唖然とさせられた。
その激しさたるや今年これ以上に大掛かりなどんでん返しを仕組んだ作品が他にあったろうかと思うほどで、作者が純文学系でなければ、もっと各種ランキングで票を集められたろうにと惜しまれる。
伏線やフェアプレー精神、本格ならではの遊び心も十分で、本の薄さも終わってみればよくぞこれだけの分量に収められたと逆に感心させられる。
作者にはぜひともこういったミステリミステリした作品をまた書いてもらいたいものだ。
13.12.16
評価:★★★★ 8
二人の女性を焼き殺した罪で投獄されたカメラマン・木原坂雄大。
編集者の依頼で彼の本を出すことになった僕は、取材のために面会する。
木原坂は言う。「僕の中の何かが、きみの中に入ってしまうかもしれない。これから死刑になる僕が、きみの中で生き続けるように。……平気なのか?」
2013このミス15位、文春8位。
~感想~
カバーに書かれた「芥川賞、大江健三郎賞、LAタイムズ文学賞最終候補、ウォール・ストリート・ジャーナル2012年ベスト10小説」という仰々しい経歴からして純文学畑の作家のようだが(こんな大物をようだが扱いしている時点でやはり自分は読書家ではない)本作に限って言えば、まぎれもないド本格ミステリである。
登場人物は9割が変態だ。初対面の相手に「さっきお茶を運んできた女は未亡人で僕と定期的にセックスしてます」と謎のカミングアウトをする人形師や、初対面の相手に「あなたの質問はつまらない」とのたまう元ストーカー、初対面の相手に「私は今から向こうの寝室で着替えるけど抱く?」と挑発し手コキしてくれるアラフォー女と、初見殺しが目白押し。
きわめて平易で静かな文体には好感も、変態祭りと豊富なエロ描写、200ページにも満たず1ページあたりの文章量もすっかすかなのに無駄な比喩とスターオーシャンセカンドストーリーを彷彿させる「……」の連発と「これだから純文学は!」と辟易しかけたところに、解決編が始まるや序盤の展開からは想像だにしなかった怒涛のどんでん返しが重なり、唖然とさせられた。
その激しさたるや今年これ以上に大掛かりなどんでん返しを仕組んだ作品が他にあったろうかと思うほどで、作者が純文学系でなければ、もっと各種ランキングで票を集められたろうにと惜しまれる。
伏線やフェアプレー精神、本格ならではの遊び心も十分で、本の薄さも終わってみればよくぞこれだけの分量に収められたと逆に感心させられる。
作者にはぜひともこういったミステリミステリした作品をまた書いてもらいたいものだ。
13.12.16
評価:★★★★ 8