~あらすじ~
日米開戦の緊張感高まる1941年。
米海軍に身柄を押さえられ、日本への潜入スパイへと養成される日系アメリカ人の元傭兵。
東京の教会で勤める傍ら本国へ情報を流すアメリカ人神父。故郷の択捉島へと戻った混血の美女。
真珠湾奇襲攻撃をめぐり、彼らの人生が交叉する。
89年このミス4位、文春9位、日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞、東西ベスト(2012)102位
~感想~
真珠湾作戦を題材に採りながら、物語は終始きわめてミニマムな視点で描かれていく。
いきなり暴論になるが、二人のスパイと一人の美女の絡み方は皮相的で、視点をほぼ市井の人物に置き、戦時中だろうと何だろうと人と人の関わりはごく個人的なものであり、それらの積み重ねで時代は動いているのだとか、そういう試みはわかるのだが、終盤にかけて単なる風邪ひきのゴルゴ13になっていく主人公と巡査の鬼ごっこ、乳繰り合っているうちに迎える徒労感あふれる結末と、とにかく話のスケールが小さすぎ、前作ともいえるドイツに空路で零戦を運ぶというケレン味あふれる「ベルリン飛行指令」と比べるだに物足りなさしか感じなかった。
主人公に少しも魅力を感じず、また私的な感情や関係が戦争につながっていく話ならば、三国志や戦国時代に敵わないと思ってしまう自分には、この物語を楽しめる素養が無かったのだろう。
15.7.22
評価:★★ 4
日米開戦の緊張感高まる1941年。
米海軍に身柄を押さえられ、日本への潜入スパイへと養成される日系アメリカ人の元傭兵。
東京の教会で勤める傍ら本国へ情報を流すアメリカ人神父。故郷の択捉島へと戻った混血の美女。
真珠湾奇襲攻撃をめぐり、彼らの人生が交叉する。
89年このミス4位、文春9位、日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞、東西ベスト(2012)102位
~感想~
真珠湾作戦を題材に採りながら、物語は終始きわめてミニマムな視点で描かれていく。
いきなり暴論になるが、二人のスパイと一人の美女の絡み方は皮相的で、視点をほぼ市井の人物に置き、戦時中だろうと何だろうと人と人の関わりはごく個人的なものであり、それらの積み重ねで時代は動いているのだとか、そういう試みはわかるのだが、終盤にかけて単なる風邪ひきのゴルゴ13になっていく主人公と巡査の鬼ごっこ、乳繰り合っているうちに迎える徒労感あふれる結末と、とにかく話のスケールが小さすぎ、前作ともいえるドイツに空路で零戦を運ぶというケレン味あふれる「ベルリン飛行指令」と比べるだに物足りなさしか感じなかった。
主人公に少しも魅力を感じず、また私的な感情や関係が戦争につながっていく話ならば、三国志や戦国時代に敵わないと思ってしまう自分には、この物語を楽しめる素養が無かったのだろう。
15.7.22
評価:★★ 4