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ミステリ感想-『RPGスクール』早坂吝

2015年08月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
今を時めく稀代の超能力者・時野イマワが我が高校を訪れた。
だがイマワは何者かに殺され、同時に校舎は外界から隔絶され、魔王を名乗る存在が脱出したくば我を倒せと声を上げる。
トラウマを抱える剣先は竹刀を剣に変え、少女を守る冒険に挑む。


~感想~
デビュー作、第二作とお下劣ながら論理性に優れたミステリを放ってきた作者の三作目。
下ネタは完全に封印し、厨ニ精神にあふれたRPG設定の異世界ミステリを描いてきた…が、RPGパートとミステリパートが明確に区切られ、双方をつなぐ論理展開はあるもののどっちつかずの凡作といったところ。
RPG的な冒険も魔王の正体もやれやれ系トラウマ主人公も学園物の青春ストーリーも、他にいくらでも同じ路線で優れたラノベがあるだろうし、冒険が終わるや急に論理を剥き出しに理詰めで推理を進めるのは、綿密なだけで別に論理や推理に面白味がなく、結果としてRPGもスクールもミステリも全てが中途半端になってしまった。だいたい(ネタバレ→)物体転送のトリックはいくらなんでもアンフェアかつ脱力物だろあれは。
最後に語られる裏事情も唐突感にあふれ、いかにも尺が足りなすぎた。いっそのこと講談社BOXで人気絵師のイラストを付けるか、新創刊の講談社タイガで長尺で出すとか、なんらかの工夫が欲しかった。
上木らいちシリーズだけの作家ではないはずなので、次に期待したい。


15.8.12
評価:★★☆ 5
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