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ミステリ感想-『少女』連城三紀彦

2015年08月04日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
官能小説家の連載作品は、まるで編集者の昨晩の情事をなぞるように描かれて……熱い闇
援交した女子中学生の財布から抜き取った2万円は、強盗が奪った札とナンバーが一致していた……少女
数ヶ月の記憶を失った私が出会った彼女は、記憶の中の出来事と同じ仕草を繰り返す……ひと夏の肌
「私の代わりに妻を満足させてください」冗談のような依頼は真実だった……盗まれた情事
二組の夫婦のスワッピングを撮影するうちに、フランス人妻に魅せられた私は夫に殺意を抱く……金色の髪


~感想~
一言で表すならば官能小説である。
全体のほぼ半分が濡れ場で埋められ、ジャンルも目隠しSMプレイ、女子中学生との援交、障子ならぬ蚊帳を貫く怒張、変型テレホンセックス、金髪フランス人妻とのスワッピングと多岐にわたる。
本格ミステリ的な仕掛けも散見されるが、そんなことより連城節が冴え渡るとにかくエロい描写が売りで、一編挙げるならやはり「盗まれた情事」が最高で、話の筋をネタバレしてしまうが「イ●ポの私の代わりに妻を満足させてください」という古式ゆかしい設定を皮切りに、しかも情事を夫が電話越しに聞いていて、その理由が「夫のイ●ポ治療のため」というこれまた古式ゆかしき素晴らしさ、その後は男女ともにフィニッシュの声を受話器に吹き込むという想像するだに吹くしかない「エロは馬鹿」という格言を思い出すチープさ(褒め言葉)で、ラストに待ち受けるミステリ的などんでん返しなんてもはやどうでもよくなる。
「連城三紀彦のエロ短編集(※ミステリ味もあるよ)」というジャンルから想像しうるものをド真ん中直球で放ってくれた一冊で、これには愚息も満足。


15.7.25
評価:★★★ 6
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