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ミステリ感想-『キウイγ(ガンマ)は時計仕掛け』森博嗣

2016年12月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
建築学会に論文の発表者として出席することになった加部谷恵美。
取材に訪れた雨宮純、連名で発表する山吹早月、出席者として海月及介ら懐かしい面々が顔を揃えるが、前夜に学長の射殺事件が起こる。
その瞬間は監視ビデオに捉えられ、犯人は「γ」と書かれたキウイを手にしていた。


~感想~
レギュラーメンバーのほぼ全員が集まり最終回の気配が漂うシリーズ第9弾。
結末もつづきを感じさせつつもある一定の決着がついた空気が漂い、このシリーズの主人公は探偵役(?)の海月や真・探偵役(??)の犀川創平ではなく、やはり加部谷恵美だったのだと個人的には感じた。

一方であのお方の捜査や思惑の理解には一切の進展がなく、ギリシャ文字の連関もさしたる理由もなしになんとなく続いている有様で、事件の様相もミステリ的に取り立てて見るべきところはない。というかあれもこれも手掛かりを見逃しまくっていて警察がちょっと無能に過ぎはしないだろうか。

事件について議論というか雑談している間になんとなく事件が解決したり、一切しなかったりするこのシリーズだが、面々がちょっと大人になった(=なんか醒めた)ため、シンプルさと淡々とした空気はさらに増しており、加部谷と雨宮の軽妙な掛け合いを堪能している間にあっという間に読み終えられるのは良いところ。
それにしても不穏な空気を感じさせつつもなんの伏線でもなかった風呂場のアレはなんだったのだろうか。


16.12.4
評価:★☆ 3
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