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ミステリ感想-『紅城奇譚』鳥飼否宇

2017年11月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
戦国時代、九州にその名を轟かせた大名・龍生信政。
勇猛さと暴虐非道で知られた彼の居城・紅城で起こるいくつもの奇怪な事件。


~感想~
架空の戦国大名家を舞台にした連作短編集。
作者は日本史に詳しくなく歴史小説のファンでもないと言うが、読んでいて不自然な描写は特になく心配無用。
4編とも水準以上の質を持ち、特に毒殺事件を描いた2編目「暴君の毒死」は「意外な真犯人と意外すぎる犯行方法に腐心しました」という作者のコメント通りの傑作で、短編としては年間ベスト級の代物。
その他も変形の密室あり、豪快なアレ系トリックありと粒ぞろい。連作としての仕掛けこそ正直なところ予想の範疇というか、予想通りすぎて拍子抜けしてしまうほどだったが、「戦国時代の本格ミステリ」に期待するものには十全に応えており、今年度の意外な収穫の一つとして挙げられるだろう。


17.11.12
評価:★★★☆ 7
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