「列異伝」に曰く。
魏の重臣の蔣済(しょうせい)の妻の夢に、若くして亡くなった息子が現れこう言った。
「私は今は黄泉の国で働いていますが、言葉に表せないほど苦労しています。もうすぐ孫阿(そんあ)という男が亡くなり、黄泉の国の長官になるので、どうか今のうちに父上から孫阿へ、私を楽な所へ転任させて欲しいと頼んでください」
妻は蔣済に話したが、彼はただの夢だと取り合わなかった。
だが翌日、またも妻の夢に息子が現れ「孫阿は明日の真昼に出発します。父上は気難しく理解してくれないので、母上の夢に出てきたのです。どうかもう一度父上に話してください」と言い、孫阿の容姿を詳しく語った。
妻は起きると蔣済へ話を伝えた。人をやって調べさせると孫阿が見つかり、息子が語った通りの容姿だった。
蔣済は「もう少しで息子を裏切るところだった」と涙を流し、孫阿に会い事情を話した。孫阿は死を恐れず、黄泉の国の長官になれることを喜び、頼みを快く引き受けた。
はたして孫阿はその日のうちに心不全を起こし、真昼に亡くなった。
一ヶ月後、妻の夢に息子が現れ、無事に転任できたことを報告したという。
魏の重臣の蔣済(しょうせい)の妻の夢に、若くして亡くなった息子が現れこう言った。
「私は今は黄泉の国で働いていますが、言葉に表せないほど苦労しています。もうすぐ孫阿(そんあ)という男が亡くなり、黄泉の国の長官になるので、どうか今のうちに父上から孫阿へ、私を楽な所へ転任させて欲しいと頼んでください」
妻は蔣済に話したが、彼はただの夢だと取り合わなかった。
だが翌日、またも妻の夢に息子が現れ「孫阿は明日の真昼に出発します。父上は気難しく理解してくれないので、母上の夢に出てきたのです。どうかもう一度父上に話してください」と言い、孫阿の容姿を詳しく語った。
妻は起きると蔣済へ話を伝えた。人をやって調べさせると孫阿が見つかり、息子が語った通りの容姿だった。
蔣済は「もう少しで息子を裏切るところだった」と涙を流し、孫阿に会い事情を話した。孫阿は死を恐れず、黄泉の国の長官になれることを喜び、頼みを快く引き受けた。
はたして孫阿はその日のうちに心不全を起こし、真昼に亡くなった。
一ヶ月後、妻の夢に息子が現れ、無事に転任できたことを報告したという。