小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

マンガ感想-『Q.E.D. 証明終了 7』加藤元浩

2010年03月04日 | マンガ感想
「Serial John Doe」★★★☆ 7
~あらすじ~
MITの卒業生が次々と殺された。謎めいた死体の状況を燈馬は、数学の公式に見立てられていると読み解く。
「不滅の名前」に固執する犯人の魔の手は燈馬にも及び……。

~感想~
この作品の特徴となっていく数学の知識を軸とした事件が初登場。オイラーの公式は美しい。
魅力的な見立て殺人と、冒頭からラストへとつながる構成が心憎い。このシリーズでしかなしえないミステリである。


「憂鬱な午後」★★☆ 5
~あらすじ~
燈馬と可奈が立ち寄った花屋の事務所から5万円が消えた。濡れ衣を着せられた燈馬たちは錯綜する事件に挑む。

~感想~
大掛かりな連続殺人の次は小さな日常の謎。といっても小さいながらに不可能状況と密室なのだからたまらない。
特殊な知識と小粒なトリック、わずかな失言を組み合わせた一息つける小品といったところ。
コメント

マンガ感想-『Q.E.D. 証明終了 6』加藤元浩

2010年03月03日 | マンガ感想
「ワタシノキオク...」★★ 4
~あらすじ~
ボストンから来日した燈馬の妹・優。優れた言語力を持つ彼女だが、物思いにふける癖があり、そのせいで万引き事件に巻き込まれてしまう。

~感想~
優の初登場が主眼で、謎自体はどれも単なるなぞなぞどまりと言ったところ。
しかし一話に多くの謎を放り込むサービス精神(あるいは本格魂)はいつもながらに旺盛。


「青の密室」★★☆ 5
~あらすじ~
スカイダイビング中に一人の男が刺された!? 一年前の同じ日、チームの女性が墜落死を遂げていた。空中の密室に燈馬が挑む。

~感想~
鮎川哲也の名作短編を大胆にも拝借したタイトルに恥じない、完全無欠の密室と燈馬の仕掛ける逆トリックが見所。
これだけの謎を単純なトリックで構成するのはいいことだが、しかしあまりにもそれが都合の良すぎてしまうのが難点。もうちょっとなんとかして欲しかったなあ。
コメント

マンガ感想-『Q.E.D. 証明終了 5』加藤元浩

2010年03月02日 | マンガ感想
「歪んだ旋律」★★ 4
~あらすじ~
楽団への援助打ち切りを検討していた社長が殺された。楽団の世界的チェリスト・平井玲二には動機があったが、死亡推定時刻に彼は燈馬たちの来訪を受けていた。

~感想~
こういった物理(?)トリックや一般的ではない知識を核にしたミステリは、小説よりもマンガのほうがやはり向いている。
しかし死体の隠し場所がバレバレで衝撃は一切なく、一息と言ったところ。


「光の残像」★★☆ 5
~あらすじ~
フリーマーケットで手に入れたカメラに残されたフィルムを届けるため、さる村を訪れた燈馬と可奈。
写真に撮られた倉の中には白骨死体が二重密室に守られて眠っていた。
その倉の中にはかつて千里眼の力を持つ少女が住んでいて……。

~感想~
思いも寄らない方向に転がっていく展開は面白いが、メイントリックがあまりにも使い古されたもので、登場した瞬間にわかってしまうのが難点。
ひとつの物語にありったけの要素を詰め込んだボリューム感はさすがだが。
コメント