それが問題だ。ところで今日も前回とおなじ前置きではじめなければならない。今朝の産経新聞によると(おそらくほかの新聞にも出ているだろうが)、というわけだ。ところが残念なことだが、すこし変えさせて頂戴。産経新聞ではなくて今日の読売新聞によれば、だ。厚生労働省の売店で産経が売り切れていたというわけ。
社説の横にある「スキャナー」というほぼ半ページを占めるコラムだ。「困惑の厚生労働省」という小見出しのなかで厚生労働省の姿勢が三転したというのだ。昨日折口会長が記者会見した後で、「GWGの会見を受けて同省でも午後6時、阿曹沼慎司(どうでもいいが妙な名前だ)老健局長(どうでもいいが妙な組織名だ、老人健康の略かね)が記者会見した。
「前日の「凍結」を指導したことをあきらかにした記者会見での明快な口調とは打って変わり、「よく話を聞いてみないと何とも言えない」と慎重な物言いに終始した。」どうでもいいけど新聞記者にしては下手な文章だね。わかる? 要するに態度がまた変わったというのだ。
つまり厚生労働省は当初、「譲渡された会社から新規指定の申請が出れば法的には認められる」とするだけで明確な意思表示をしなかった。だが予想外に国民からの批判の声が高まるや、「同一グループの譲渡は望ましくない」との見解を示し、「譲渡凍結」の行政指導に踏み切った(昨日、それが今日また無意見、日和見になったというわけだ)」。
厚生労働予算、利権は与野党の翼賛体制が確立している。とくに野党の食い込みが目立つ。与党でも公明党なんかは自分の運動場だと思っている。各種の厚生労働予算、生活保護費だとか、介護保険だとかを自党の勢力拡張の手段にしている。とくに貧困地域にいる諸君には先刻ご案内のところであろう。
なにしろ、厚生労働予算は太平洋戦争中の軍事予算並みの比重である。予算規模が46兆円くらいですか、いま。厚生労働予算は20兆円をはるかにこえる。社会保障費21兆円超え、恩給関係費1兆円弱、それに財政投融資も莫大だ。与野党の議員が目をつけて殺到するのは当然である。厚生労働予算の廿数兆円に続くのは7兆2千億円の公共事業費である。その次に5兆円前後の文教予算と防衛予算である。その他の予算はみな1兆円未満である。
今回のような問題が起きるのは介護保険法が欠陥制度であるからだ。2000年でしたっけ、導入されたのは。当時の厚生大臣は公明党の坂口先生だ。かれはずいぶん長く厚生大臣をやった。公明党は予算が多く利権の多い、許認可権の多い省を大臣ポストに望むね。長い間、厚生労働大臣のポストを握っていたと思ったらその後は北側、冬柴と続けて国交大臣だ。国土交通省の公共事業費は7兆2千億円と厚生労働予算につぐ規模だ。これは意図的に狙ったポストだね。こんなことを許していると国が崩壊してしまう。公明党の大臣は国土交通省でもずいぶんとおかしなことをやっているようだが、今回は介護保険に話をしぼろう。
民主党や社民党も負けちゃいない。厚生労働の分野は自民党も野党対策として、野党懐柔策として利権のおすそわけだ。それに厚生労働省の役人がホイホイだ。今回の無様な対応の変化も色々な総会屋、スポンサー、すなわち厚生労働族の先生たちに小突き回された結果である。
今回の問題の発端、すなわち厚生労働省のコムスン処分の発表だがずいぶん唐突だった。やりかたも小心者が多いお役人らしくない、強圧的なものだった。この仕掛けも政治家が裏にいることは間違いない。
だれが仕掛けたか。安倍さんが年金問題をつぶすためにぶつけたのか。そうだとすると、野党議員、なかんずく民主党と介護保険利権に一蓮托生の腐れ縁があることを把握した上での荒業なのか。
いや、民主党が年金問題で追い詰めた安倍政権にトドメを刺すために仕掛けたのかもしれない。マスコミというのは、有能だったら、こういう観点から取材をするべきである。