今日この頃のこの国の最大の関心事は、北朝鮮問題である。ミサイル発射の国連安保理会でどうなるかとまるで蜂の巣をつついたように騒いでいる。北朝鮮問題の本質は、この隣の最貧国が、唯一の被爆国にとって核兵器を持つことが本来の問題である。拉致にしても、さらった国が悪いのは当然であるが、国民を守ることさえできなかった日本の貧相な思想がまず問題である。友人が「横田めぐみ」さん事件の事務局を立ち上げた頃は、日本政府はまったくの玄関払いであった。日本が国民を守ることさえできなかったことが最大の問題ではないのか。この国はどうやら過ぎたものはすぐに忘れるように心がけているかに見える。
少し前までは、隣の子どもを絞め殺した女が騒がれていたが、そういえば家の中から5人もの死体が出てきた事件や、家に火を放って親兄弟を殺したりした高校生や大学生はどはどうしたのか。あんなに騒いでいたのに、忘れてしまったのかもしれない。そのうち拉致問題も、そんなことがあったっけなんて時代が来そうである。
現に、牛肉問題などはすっかり忘れ去られている。「安けりゃ買うさ」(6月24日)で書いたように、BSE検査なんてどこ吹く風ということになる。この国の人たちは安い方を買うのに決まっている。安全なんて忘れてしまうさ。食料自給率や食の安全は誰かが騒いでいたり、問題が噴出したときにしか気にかけない情けない国家である。