農業が、経済主導のこの国の中で邪魔者になって久しい。投資と販売実績を積み重ねれば、順調にどこまでも伸びる産業と、農業は肩を並べることができない。せいぜい、肥培管理を良くしても10%程度しか伸びない。しかも、そんなことは持続はしない。単年度で元の木阿弥になってしまう。それでいながら、農業は他の産業と異なりなくてはならない産業である。人は食べずに生きることができない。先進国の多くは、2、3次産業を育成する傍らでは、農業を賃金の安い国から輸入しようと試みるのである。中国を見るとそのことが良くわかる。国内の賃金格差としてそれが露呈している。経済発展から取り残された農業は、農薬をいっぱい使うのは当然の成り行きである。日本はこの国から、大量の野菜など農産物を輸入している。
後に小泉内閣に招聘される、竹中何とか大臣の言である。経済には不確実要素があるというのである。これが、経済をいっそう困難にしているとする主張である。その不確実要素とは、思い込みや感情や宗教などであり経済学が突き当たるところだというのである。これはまったくばかげた話で、本末転倒である。人を幸せにするのが、そうした感情の流れである。経済学とはそうしたことをおもねることのない、人を不幸にする学問といえる。
今農協が風前の灯になっている。農協自体が、金融などで組織の温存をしてきた経緯もあり、農協本来のあり方を問われることも必要ではあるが、農協の崩壊はこの国の農業と地域の存続を危うくすることになる。