9月29日の本ブログで、三井物産、三菱商事などが出資するロシア・サハリン州の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」の工事が、環境保護のためにサハリン2が停止されることを、前向きに評価した。どうやら、それは私の思い過ごし、ロシアの過剰評価になってしまった感を拭いきれない。
最近になって、ラブロフ外相がどうやらサハリン2は自国の力でもできるなどと発言し始めた。ロシアは海外資本の排除と、資源ナショナリズムを強く打ち出してきている。このところの、経済成長を背景に天然資源の国家管理を行おうとしている。
外国資本の呼び込みを行ってきたこれまでと、大きく方針転換している。
このところのロシアの強権政治は目に余るものがある。ノルド、オストの大量殺戮、オセアチアのベスレンでの小学校での強行突入、オレンジ革命の妨害、そしてアンナ・ポリトフスカヤの暗殺とほとんど恐怖政治に近い状況にある。
とりわけ、9、11以降はアメリカの対テロ政策を当然のように支持した。国内のチェチェンなどの独立派を抑えるためには、テロは最高の抑圧方法である。反政府勢力を「テロ」とするだけで、論議の必要もなければ正当な評価の必要もないからである。
そのロシアは、現在中国とはかつてないほどの蜜月状態にある。サハリン2の一方的な中止は、環境保護をお題目にした、ロシアの資源ナショナリズムの台頭なのである。