1960年代までの日本の畜産は、人が食べることのできなかったものを家畜に与えて肉や卵や牛乳を生産していました。家畜が食べるものは、人とは競合することがありませんでした。
農家が生産に関わらない、輸入穀物を給与する便利なスタイルが、その後出来上ってきました。これで、畜産農家は規模を大きくすることができ、個体の生産量を高めることができました。これには、当然多額の投資や 技術、質の高い労働力が求められるようもなったのです。
穀物輸入業者の戦略がここにあります。今や、先進国の消費する穀物の半分の量は家畜が食べているのです。貧困国家の人間に販売するよりも、裕福な先進国の家畜のほうが経済力があるからです。
都会と農村の賃金格差を埋める手段として、大型化が政策的に推奨され、土地生産を上げなければならない米つくりや野菜農家から見ると、比較的簡単に畜産農家は、大型化ができたのです。アメリカの穀物販売業者と日本の農業政策が、今日の畜産の形態を作りました。
例えば、畜産農家にある技術もしくは設備をを提供したとます。それで、搾乳時間が大幅に短縮されて、2時間かかったものが1時間で終わるとします。するここの技術や設備は酪農家の労働軽減にとって、多大な貢献をする・・・・ というシナリオは見事 に破綻します。時間が短縮された分、酪農家は牛を増やすのです。こうして、際限ない規模拡大が行われるのです。
技術革新(イノベーション)は大型化に貢献はしたが、酪農家に福音をもたらさなかったのです。大型化(1農場当たりの生産量)、高生産(1個体当たりの、肉、卵、乳の生産量)で家畜が、悲鳴を上げています。
鶏も豚も牛も命を削って生産をしています。日本の家畜ほとんどが発病すれすれの、不健康な状態にあります。「健康食品」を生産しながら・・・
拙書参照下さい。
そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-10