忘れっぽい日本人のために、ここでもう一度、BSE(狂牛病:牛海綿状脳症)についてもう一度・・・
全ての発生を、肉骨粉だけで説明するのには無理があります。現に日本で確認された29頭の中で、肉骨粉を与えていたのは一例に過ぎません。肉骨粉にこだわるあまり、ほかの原因を特定するのに障害になっている感すらあります。
BSEの病態はまるで解ってはいません。ノーベル賞学者スタンリープルシナーが提案し名前をつけた悪性のプリオンが、脳に沈着し、脳をスポンジのようにする、最終段階についてはあまり異論はありません。それに伴う診断も、現時点ではそれなりの精度はあるものと理解します。
ところが発病の原因が、肉骨粉とされていますが、これは20万頭ほどのBSE牛を出した、イギリスの状況証拠に過ぎません。多分肉骨粉が原因のひとつであることには、状況証拠から間違いがないものと思われます。
肉骨粉の中に悪性のプリオンが確認されたことはありません。肉骨粉給与による発病試験は、何例か成功例はあります。
悪性のプリオンが、身体の中に入って次々と正常なプリオンを換えるメカニズムや、脳に至るまでのことは何もわかってはいません。プルシナーの説明は、全て仮説にしか過ぎません。しかも今までの、医学の常識を覆す説なのです。
牛が30ヶ月で仮に発病するならば、その間に異状プリオンは身体のどこかにあるはずです。仮に、30ヶ月を越えてやがて発病する牛がいたとしても、その前にと殺された場合、BSEマイナスで消費者の口に入ります。身体のどこかに悪性のプリオンがあってもマイナスなのです。
全頭検査は、非科学的、ゼロリスク追求などと、政府ご用達の発言をする唐木とか言うセンセイがいます。全頭検査でもゼロリスクではないのです。
又、原因究明のためにはあらゆる場合を対象とするような、検査と牛の経歴の確認が前提になります。
その意味で、日本の地方自治体が行っている(国は放棄した) 全頭検査は必要なのです。何も消費者のためばかりではなく、牛のためにも、農家のためにも必要なことなのです。拙書「そりゃないよ獣医さん」参考下さい。
そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-10