政治を含む人間社会では、こうしたときには札幌の人工的な植栽樹木の方が、知床の自然林の伐採よりも重要であることになる。これは人間の一方的な判断であって、環境や自然を正確に評価はしていない、妙チクリンな話である。
今日一票の重さについて、ちゃんとやりなさいという最高裁判決が出た。私の住む北海道の東は、以前は衆議院北海道5 区として定員が5名いた。地域は十勝、釧路、根室それに網走支庁である。面積はほぼ関東平野に匹敵する。選挙制度が変わって、現在はこの道東の過疎地の定員は3名で比例区を足してもせいぜいプラス1名である。ところが、関東平野はなんとちょうど100名である。これはを一票の格差から判断するのは大きな間違いである。
環境あるいは面積を考慮すると、一票の格差はあって当然である。広い面積を必要とする農業者の住まいは田舎である。農業者や僻地の実情が中央に届きにくくなっている。農業や食料や環境問題は、多数決を原則とする民主主義の制度にそぐわない。
民主主義は人間の勝手な価値基準である。民主主義を絶対視して市場経済を原則とするなら、人間の少ない地域はさらに置いてきぼりになるばかりである。
拙書参照ください。
そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-10