今では多くのところでBSEと呼ばれてはいるが、当初は狂牛病と一般的に言われていた。狂牛病は狂犬病を想起されるため、印象が良くないと獣医関係者からは敬遠されて はいた。
狂牛病は、20万頭ほどの感染牛をだしたイギリスで”Mad Cow Desease”といわれていたがその直訳である。狂犬病は”Rabies”と英語では言われ、犬が極めて凶暴になり噛み付き人にも感染させる。水などにも驚いて暴れるために”狂水病”とも言われる。
ところが、狂牛病は脳そのものがいかれて、むしろ感覚が鈍くなる。同じく狂っているようでも、症状が全く逆である。最近になって、狂犬病の感染者が80名ほどあったとの報道がある。ヨーロッパでは、いまだに怖い病気なのである。
BSEは、牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy)の訳である。ここで注目願いたいのは「脳炎」ではなく「脳症」なのである。プリオンは、異種蛋白ではないため、脳には炎症が生じていないのである。脳の異常な出来事にしか過ぎない。
これが良く解っていない、もしくはプリシュナーの新説では明快ではない。異物反応がなく、炎症がないために生前の反応が難しいことになる。死んでから、脳閂部を取り出して検査してはじめて診断できるのである。
狂牛病を表現方法として用いるべきだという方も少なからずいる。そのほうが、一般の人にはインパクトがあるかもしれないが、牛以外のプリオン病の異種間の病名の統一のためにも本来の牛海綿状脳症とするべきだと思う。
この厄介な、牛海綿状脳症の原因はほとんど解明されていない。プルシナー説は、牛の脳に起きた結果の解説でしかない。