そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

そりゃ地域振興にはならんだろ

2006-10-07 | 格差社会

630億円もの負債を抱え、夕張市が財政再建団体となった。地方自治体が債権団体に06070101 なるのは、九州の赤池町も同様に炭鉱の町であった。赤池町の赤字が32億円だったことを聞くと声も出ない。花の山夕張岳に登る身にとっては心痛い話である。

夕張市の財政破綻の基本的な理由は、炭鉱で栄えた街が国のエネルギー転換で、人口11万の町が瞬く間に10分の1ほどになったことである。最大24もあった炭鉱も今は1つもない。勿論夕張市の会計処理に不正を行ったことも、観光事業に多大の投資をしたりした、冗漫な運営も大きな理由である。町は寂れて、シャッター街どころではない。郊外に行くと、かつての町に廃屋とズリ山ばかりが目立つ。

北海道が近代化の波の洗礼を受けたのが150年ほど前である。先住民族のアイヌを「旧土人」と称して、北海道を和人が開いた大きな理由は豊富な資源にあった。

その後の北海道を支えたのは全て一次産業であるといっても構わなかった。石炭、金、銀、硫黄などが豊富だった鉱業、無尽蔵と思える漁業資源を持つ北洋を控えた漁業、広大な森林を抱えた林業、開拓農民を戦後まで送り続けた農業が北海道を支えた。

鉱業は資源の枯渇と方針転換、漁業は200海里問題に北方領土問題など、林業は外材に押され、今又農業は海外に食料を委ねる政策に虫の息である。北海道は日本の近代化の礎を築いたが、その力となった三井三菱などのコンツェルンや大企業は撤退して今は影も形もない。

江戸時代、上杉鷹山や山田芳谷が地域に根ざした産業に腐心したり、財政の健全化に手を抜かなかったことを思うと、ひと時大企業が栄華をもたらしても、地域産業として根付かない。地方の繁栄は自らが築く以外にないのである。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港