名古屋高等裁判所が、自衛隊のイラク派遣は憲法違反になるしイラク特措法にも抵触するとした、画期的判断を出した。それでは各メディアは、これをどのように報道したのであろうか。
新聞報道は、下記のように極めて積極的に評価した。「薔薇、または陽だまりの猫」より
- イラク空自違憲判決 まだ派遣を継続するのか(北海道新聞)
- イラク空自違憲 高裁判断を無視するのか(新潟日報)
- イラク空自違憲 『派兵』への歯止めだ(東京新聞)
- イラク判決-違憲とされた自衛隊派遣(朝日新聞)
- イラク空自違憲 あいまいな説明は許されない(毎日新聞)
- 「違憲」は国民の不信映す イラク空自活動(西日本新聞)
- 違憲判断/空自派遣の足元が崩れた(神戸新聞)
- イラク空自違憲 派遣の正当性が揺らいでいる(愛媛新聞)
- 空自派遣「違憲」 司法判断の意味は重い(中国新聞)
- イラク派遣違憲 重く受け止めたい司法判断(熊本日日新聞)
- イラク派遣違憲 撤退を迫る画期的な判断(琉球新報)
- 違憲判断を機に集団的自衛権論議を(日本経済新聞)
新聞報道は、ほとんどが積極的に憲法をめぐる今回の判断を評価している。
ここに登場しないのが、産経新聞と読売新聞である。両紙とも、「ひるむな」と、司法判断を無視する政府を激励している。高裁の判断はきわめて問題である(産経)と断じてもいる。
アメリカですら、すでにイラクに仕掛けた戦争へ、国民の半数を超える人たちが疑問を抱いている。ましてやこれに、盲従した小泉政権は、少なくとも虚偽に基づく戦争であったことを考えると、大いに論議してしかるべきである。ましては、憲法違反の判決が出たのである。
日曜日には、テレビに顔を売りたい政治家や評論家連中が登場する番組がたくさんある。今日このほとんどが、この問題を取り上げることはなかった。
報道メディアは、新聞に比して政権にすり寄るのかのように見える。政府同様に、この問題を避けるメディアの在り方を問いたいところである。