イラクは大きく三通りの勢力からなっている。サダム・フセインの属していたスンニー派と、イラク で最も多数を占めるシーははほぼ同じ民族である。スンニー派は、フセイン政権を支えていた。多くはバース党としてフセイン政権の中枢にいた。
多数党のシーア派は長年抑圧を受けていた。北部には、多くの国家にまたがる山岳民族のクルド族である。クルド族は、他国にいる同族を抱え込んでいる。特に、クルドの独自性を認めないトルコと微妙な関係にある。
クルド族の地域は、イラクの石油のほとんどを産出するところである。フセインが、クルド族を毒 ガスで民族浄化を図ったのは知られるところである。
NHKとBBCとABCが調査したアンケートは、この三つの勢力の意識を鮮明に語っている。クル ド族は、分裂国家を望んでいる。マリキ政権をシーア派は信用しているが、他の二つは全く信用 していない。スンニー派は今後一年でよくなると思っているが、他の二つはそうは思っていない。
今の生活が良くなったとしているのは、クルド族である。直面する最大の課題は、治安 、経済、生活と均等に不安を抱いている。
この国の制圧方法をアメリカは誤ったのである。フセイン政権の実務的部分を担っていたシーア派を追放したり、軍隊を解体したことで武器が散逸し、内部抗争の激化を促す結果になったことである。
要するにブッシュは、強大な武器をもってすればどうにでもなると、過信していたのである。無知で更に誤った政策で、イラクから400万人以上の人が脱出している。このままでは、この国は分裂は避けることができないと言わざるを得ない。すべては、ブッシュの責任である。