そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

ついに食糧危機が現実化しつつある

2008-04-14 | 農業と食

最近の穀物の高騰は、世界の貧国を直撃している。FAOが穀物の急騰を報告した。

http://www.fao.org/docrep/010/ai465e/ai465e00.htm

Ai465e01 この表はFAOが発表した最近の、主要穀物の価格である。特に米と小麦の価格上昇が著しい。我が国は、海外に食料を作ってもらう政策を、選択している。日本の基本政策は、売れるものは最大限売ることによって、輸出国から食料を輸入するのである。

先進国の、畜産は大量の穀物を給与することで成り立っている。こうした国々が、ある程度の経済力で、穀物をこれからも一定期間購入することは可能だと思われる。しかし、それは決して健全な姿ではないのである。

ひとつは、貧国の食糧を現在のように略奪することになっているからである。この1年で、これまで飢餓人口は8億人とされていたが、穀物が急騰することで飢餓人口を更に、1億人増やしたことになる。

その一方で、主要国は遠いところからでも穀物を輸入してまで、家畜に与えているのである。これは、台頭するアジアの主要国でも急に伸びている。特に、中国はブラジルから大量の、大豆を輸入するようになった。

もうひとつは、家畜に高生産を強要することで、家畜を苦痛を与えていることである。例えば、乳牛は牛乳を効率よく生産するために、大量の穀物を与え続けられる。胃の障害や乳房炎や代謝器病に常時悩まされ続ける。生産の高い酪農家では、わずか2産しただけで淘汰されることになる。

生産の苦痛と極めて短い生涯を終えるのである。この最も激しい例が、採卵鶏である。採卵鶏は常時餌(輸入穀物)を食べるように、品種改良されている。閉塞空間の狭いケージの中で、1週間に4個以下の卵を産むようになったら、淘汰の対象になる。飼料用の輸入穀物の半分は鶏が食べている。

世界の人口は60億を超えた。生産される穀物は21億トンを超えた。この数年飛躍的に伸びている。人は350キロあれば十分生きていいけるのである。穀物は十分あるのである。均等に配分されていないだけのことである。

先進国の家畜が、後進国の食糧を奪っている構図が出来上がって久しい。倫理的問題からこのことを長年問い続けてきたが、ついに経済的にも問われる事態になったといえる。

世界銀行、IMFも「途上国の貧困層が深刻な事態になっている」と表明するまでなった。

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