イラクでは、ブッシュが大量の増派を行ったにもかかわらず、最悪の状態になっているようだ。小さな戦闘で、多くの市民が亡くなってはいたが、3月25日の南部の港バスラで起きたことは、アメリカにとって思わぬ結末になった。
マリキ首相が陣頭指揮を行い。政府軍がマハディ軍の殲滅にかかったが、6日間で停戦するこ とになった。激しい戦いで、死者は400名を超したといわれている。
イラク人口の60%を占めるシーア派は、選挙で 勝利する下地はあったが、そもそもシーア派には3つの流れがあった。ダ ーワ党とイラク・イスラム最高評議会とサドル派である。マリキ首相はダーワ党の党首でもある。
サドル派の民兵集団が、マハディ軍である。伝統的家系である反米強硬派のサドル師の一括で、マハディ軍は戦闘を休止していた。3月にも停戦延長を出したばかりだる。ここを、マリキは襲ったのである。
この、シーア派内部抗争と思える戦闘を停止させたのが、シーア派国家のイランである。先の3派がイランに要請したようである。ブッシュが盛んに、「悪の枢軸」「テロ国家」と名指している、イランがここで功 をなしたのである。
中東の国家は、単純にお金と石油利権だけで動くものではない。中東は、ブッシュの思惑とは裏腹に動いている。今回のバスラの戦闘はその典型である。
ブッシュが、対テロ戦争と位置づけていた、アフガニスタン、イラク、イラン、パキスタンそれに北朝鮮と、それぞれがブッシュにとって悲惨な状況、最悪の事態になっている。カイザルもマリキもムシャラクもどれもアメリカが後押しする連中の居場所がなくなりつつある。
思いのままにしようとした北朝鮮は、6者協議を無視した行動に出て、核査察を真剣抜ける気がない。金正日はブッシュの期限切れを待っているかのように、アメリカの甘い手に乗る仕草を見せながらも、ミサイル発射武器輸出と意気盛んである。
ブッシュは自分の仕掛けた戦争のすべてで敗北し、何一つ解決することなく退くことになりそうである。ロシアと中国の台頭には何も手を打てず看過するだけで、後年最悪の大統領と名指しされそうである。