急速な円高である。14数年ぶりに対ドル、80円台になった。一時は84円80銭にまで上がった。今回の円高は、通常の出来事ではない。当初はアメリカの超低金利政策が長引くとの憶測 から、急にドルが売られ始めたのである。ドルが安くなっただけの出来事であった。今日になって様子が変わった。
中東のアラブ首長国連邦(UAE)のドバイは、投機マネーが石油価格を一気に押し上げたのを受けて、バブルの真っ最中であった。ここぞとばかりに巨大の構造物を立て始めた。町まで作り始めた。世界で最も高いビルや巨大な水族館などを作り、典型的な金余りジャブジャブ現象を呈していたのである。このドバイで政府系の会社が債務支払いの延滞を申告したのである。
このドバイショックは、ドル安に加えてユーロも売られ始め、新興国への不安から円一人勝ちの“円の独歩高“現象となったのである。今日本はデフレ状況にある。加えて、民主党は総論ば かりで、具体的な主要政策を出せずにいる。
日本は下手をすると、このまま一気により一層深刻な不況になってしまうかもしれない。財界では二番底を打つとまで言われている。円が高くなって資産が増えたり資源の輸入が安価になったりといい面も少なからずあるが、今はそれを受けられる状況にあると思えない。
民主党政権が、大局的な政策を打ち出せないのである。目先のことも決断を渋って、普天間など先送りしてアメリカの顔色をうかがうようでは、円高とデフレのダブルパンチで動きが取れなくなるかもしれない。