閣僚の何人かが環境税の導入を口にするようになった。一方で、鳩山首相は来年度から廃止が決まっている、ガソリンなどの暫定税率の廃止と並行論議をやるのは誤解を招くなどと、引いたような発言をしている。
目的税はその目的を明確にせず、官僚や政治家や土建業などに良いように利用されてきた。埋蔵金などと称されて、誰も手がつけられない状況になっていた。暫定税率はその良い例である。道路を作ることが目的の、「暫定的な」税のはずでである。高速道路も無料が前提だったが、次の道路建設へと目的化され続けてきた。すでに不要と思われる道路 は枚挙にいとまがない。時代の転換期を過ぎてなお暫定的であり続けるのは、利権が美味しい連中がいるからである。
環境税はこれとは全く異なる目的税である。時代が大きく転換した以上、廃止しながら新設するような論議に与すべきではない。全く異なるものを論議することは、並行論議ではない。
時代は環境へ大きく負荷をかけ続けてきた人類へ、大きな転換を求めている。環境税を明確な目的税として、環境に負荷がかかる商品や活動への課税は当然である。経済成長ができないなどとは、仔細な問題である。鳩山首相は、25%削減を打ち出したではないか。
何か注文をつけられるとすぐに訂正してしまう、ポピュリズムに堕した民主党政権は新たな論議を提案する度量がないかに見える。今は、環境税はいくらにするかの論議ではなく、何に使うかを論議すべき時なのである。