小沢一郎が本格的に動き出した。何しろ中国に、600人以上の人間を引き連れて行ったのである。チャ ーター機が4機(5機だったかな)も使ったそうである。信じられない大人数である。新人議員を140名も同行させ、胡錦濤に握手させ記念撮影をさせる演出は見事である。1人3秒の流れ作業であったが、滑稽と言う他ない。トラの威を借りた議員たちは、お国に帰って自慢話ができるのだろう。それとも次期選挙に大いに役立つ写真になるのかもしれない。胡錦濤の寛容さと、いちいち笑顔を作る勤勉さから、日本はなにを背負うことになるのか不安すら感じた。
小沢はこれに先立ち、次期国家主席となる習近平副主席を天皇に会わせる算段をしたようである。一ケ月以上前に予約をとる慣例で宮内庁から断られたのを、鳩山にねじ込んで実現したようである。中国人は恩義を重んずる国民である。小沢に何らのお返しを必ずしてくれる。今は何か分からない小沢の企みはやがて暴露されるであろう。
それより大きい問題は、小沢が天皇を政治利用したことである。日本国憲法の天皇の扱いは「象徴」になっている。しかし実際は形とはいえ、国会を開催するし大臣を任命する。このこと自体も大いに政治に係わっていると言えるのであって、問題にすべきなのである。慣例の名の下、すっかり麻痺状態になっているのもおかしなことであるが、今回の小沢が天皇会見をねじ込んだ人物は、次期国家主席である。小沢のにんまり微笑む顔が浮かぶ。天皇の政治利用は憲法違反である。
それに反して、普天間を巡ってアメリカとの関係をぎくしゃくさせてしまって、いまだに決断できない鳩山首相は哀れにも見える。数日切ったからと言って一月の慣例に固執するのはおかしいと小沢を擁護する。小沢にルールを教える立場にあると思うのであるが、けじめがつけられずにいるのだろう。こんなことがいつまでも続くようだと、ひょっとするとこの人物も政権を投げ出すかもしれない。
中国を訪問した足で小沢は、韓国の李大統領と会談するためソウルに向かった。アメリカでもたもたする民主党は中韓との関係の絆を強くしている。連立政権与党では、押しの強い亀井と小沢が意気軒高である。アメリカの苛立ちは、さらに鳩山を追い詰めるかもしれない。どうぞ政権を投げ出すなんて言わないように。