そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

習近平のしたたかな計算

2009-12-16 | 中国

中国の次期国家主席を天皇に強引に会見させたことの問題は、極めて複雑な内容をはらんでいる。官僚のよる支配体制、天皇の政治利用、自民党の変質、中国の思惑である。

091215 小沢幹事長の傲慢な言い草は全く気に入らないが、ただ一つ理解できることがある。宮内庁とはいえ、高々一官僚である長官が、記者会見までして政府の方針を非難したことである。これに小沢は激怒した。品性を欠く激怒は評価に値しないが、官僚に従うばかりの政権でないことの表明は評価しても良いだろう。

小沢の言い分は憲法解釈まで及んでいるが、確かに天皇の国事は3条は内閣の助言と承認を必要とすると明記されている。しかし、4条は天皇は国政に関する機能を有しないとも書かれている。天皇は政治的行為をしてはならないとされているのである。

外国の要人を仕分けする今回のような行為は、明らかに政治行為である。どの国にも平等に会見するためには、ルールなり仕切りがあって当然である。国家主席になっている頃には世界第2位の経済大国になっているであろう、中国の要人に配慮会見したのである。政治的判断の介入がなかったはずがない。小沢の発言は憲法第4条に抵触する。

総理総裁が毎年、戦犯を合祀する靖国神社に行って中国の要人に窘めらられていた自民党に、今回のことに対して発言する資格はない。ほとんど中国と絶交状態にしていた自民党は、野党になったとたんに「天皇の政治利用」などと批判するとは、奇怪にすら見える。小泉時代から、すっかり距離を置いていた自民党は、民主党が中国や韓国に接近する姿に焦りがあるのであろう。

習近平国家副主席は、天皇会見を巡るのゴタゴタをしり目に、実に精力的に多くの人との顔合わせをしている。今や世界的不況の中にあって、経済大国中国は懸命にそれを支えている現状である。経済人ならずとも無視はできない。むしろこのゴタゴタで注目を集めていることを、彼らは歓迎しているのではないだろうか。存在感を見せつけて、民主党に貸しを作らせたのである。したたかな外交力を見せつけられた思いがする。

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